マウスのiPS細胞(人工多能性幹細胞)から卵子をつくることに京都大の研究チームが成功した。その卵子を体外受精させ、子どもや孫も生まれた。
iPS細胞から生殖能力のある卵子ができたのは初という。米科学誌サイエンスの速報電子版で5日発表する。
■不妊症の解明に一歩
iPS細胞は体のあらゆる組織や臓器の細胞になる能力がある。チームは昨年、マウスのiPS細胞から生殖が可能な精子をつくったとも報告しており、
人に応用できれば理論上、精子ができない男性と卵子ができない女性が、皮膚の細胞などをもとに自身の遺伝情報を引き継ぐ子どもをつくることに道を開く。
研究チームの林克彦准教授らは、雌のマウスのiPS細胞から卵子の元になる「始原生殖細胞」をつくり、
胎児から取り出した将来卵巣に育つ細胞と一緒に培養。そのうえでマウスの卵巣に移植したところ、卵子ができた。
この卵子計163個を、マウスが自然につくった精子と体外受精させて、雄雌3匹の子どもが生まれた。
いずれも正常で、別のマウスとの間に孫をつくることもできた。受精卵をもとにしたES細胞(胚〈はい〉性幹細胞)を使っても同様の結果が得られた。
朝日新聞デジタル 10月5日(金)3時2分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20121005-00000004-asahi-sci