【毎日新聞】 「韓国に本店がある料理店の韓国人店員が『かなり、お待たせしました』。こう聞くと珍しくて、嫌な感じではないね」

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1有明省吾 ◆BAKA1DJoEI @有明省吾ρ ★

★憂楽帳:「かなり」と「とても」

韓国に本店がある料理店が大阪に出店したと聞き、女友達と出掛けた。注文した料理のうちの一品がなかなか出てこず、
どうなったのかなと思い始めた時、韓国人らしき男性店員が恐縮した面持ちで皿を運んできて頭を下げた。「かなり、お待たせしました。すみません」

皆が思わず「いいですよ」とほほえんでしまったのは、彼が韓流スターばりの好青年だったからばかりではない。
「辞書通りの意味で『かなり』を使ったらしいけど、こう聞くと珍しくて、嫌な感じではないね」。一同、うなずき合った。

程度を示す言葉は興味深い。中でも「すごく」「大変」を示す表現は、「チョー」から「ばり」「めっちゃ」「ハンパなく(半端ではなく)」まで、実に多彩だ。
多くは語句の短縮や結合で意味を強める若者言葉。しかし、立派な大人たちまでがこれらを連発していると、「本当にそれほどすごいの?」と疑問がわく。

そこで私は時々、あえて「とても」を使う。「このチヂミ、とてもおいしい」。そう、日常の表現はこの程度で十分だ。
「人が本当に驚かねばならない事態」に鈍感にならぬためにも。【畑律江】

毎日新聞 2012年07月23日 大阪夕刊
http://mainichi.jp/opinion/news/20120723ddf041070030000c.html