富士山の5合目の登山口の近くに、去年3月の震災後の地震のあと、30メートル以上に
わたって亀裂が入っていたことが分かりました。
専門家は火山活動との関連性はないとみていますが、大規模な土砂災害につながるおそれが
ないか調べる必要があると指摘し、山梨県が調査に乗り出しました。
この亀裂は、山梨県の富士山の5合目の登山口に近い県有地で見つかりました。
長さは30メートル以上、幅は5センチから8センチほどあり、小さな段差も確認されました。
近くの冨士山小御嶽神社の宮司によりますと、亀裂は東日本大震災の4日後の去年3月15日、
静岡県東部を震源とするマグニチュード6.4の地震が起きたあと見つかり、
その後、しだいに埋もれて去年の夏ごろにははっきり見えなくなったということです。
富士山に詳しく、当時亀裂を確認した山梨県環境科学研究所の荒牧重雄所長は「地震の揺れでできた
可能性が考えられる。亀裂の10メートルほど先は崖になっていて、今後の地震などで大規模な
土砂崩れが起きるおそれがないか、調査する必要がある」と指摘しています。
山梨県は、専門家の指摘を受けて先月から現場で測量を始め、周辺に亀裂が広がったり地滑りが
起きたりする兆候がないか、本格的に調査を始めました。
亀裂からおよそ50メートル離れた場所には、富士山の5合目の駐車場やレストハウスもあり、
この付近はかつて盛り土などで造成された可能性もあるため、当時の経緯も調べることにしています。
火山噴火予知連絡会会長の藤井敏嗣東京大学名誉教授は、「地中のマグマが浅いところに上がってきてい
る証拠はないので、火山活動によってできた亀裂とは思えない」としたうえで「亀裂は古い火口のへりの
崩れやすい場所にあり、次の地震や激しい雨で崩れる可能性もあるので、調査は必要だ」と話しています。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20120709/k10013455471000.html