厚生労働省が5日に発表した人口動態統計によれば、女性1人が生涯に産む子どもの推定人数を示す合計特殊出生率が、
2011年は前年と同じ1・39だった。赤ちゃんの出生数は、統計を取り始めた1947年以降最少の105万698人(前年比2万606人減)。
少子化については歴代政権で担当大臣も置かれている。現在、少子化担当大臣は小宮山洋子厚労相が兼務しているが、
驚くべきことに民主党政権下で9人目の大臣となる。これでは少子化対策に熱心でないといわれてしまうが、
それにしても、なかなか問題が解決しないのはなぜか。そして、解決する場合はどのような方法があるのだろうか。
実は、先進国ではほとんどの国で少子化が進展している。その理由は社会学的なものを含め
多種多様で複雑であるが、ひとつには経済的な要因が大きいだろう。
子供を育てるには育児・教育費がかかるとともに、出産・育児期間によって妻の就業機会を奪うというコスト(機会費用)も発生する。
前者の子供の育児・教育費だけで、2005年度の国民生活白書で試算された数字によると、22年間計で1300万円である。
1カ月に直すと5万円程度だ。
これを実現するための少子化予算は、対象100万人として初年度6000億円。
これを22年間続けて最終的には13兆円レベルの予算になる。ここまで満額子育て費用を政府が捻出しなくても、
民主党が約束していた子供手当毎月2万6000円でも一定の効果があっただろう。
2012年度当初予算、一般会計の社会保障関係のうち15兆円の高齢者向けと子ども向け2兆円になり、
先進国の中でも子供向けの比率が低い。少子化対策のためにこの比率を見直して、ある程度の工夫をする余地はあるだろう。
ただ、経済要因としては、妻の就業機会を奪うコストが大きい。1億円近いという試算もある。出産・育児について
不利益にならないような雇用環境の整備が求められる。そのためには、現在のデフレ下で企業収益の低下があるといかんともしがたい。
雇用法制とともにデフレの脱却が必要である。
http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20120612/plt1206120707001-n1.htm >>2以降へ続く