・北京市が始めた違法外国人の取り締まり運動を受け、中国のネットで外国人排斥を求める
論調が強まり、当局が困惑している。テレビキャスターによる「外国からのごみを掃除しろ」との
過激発言が飛び出すと、賛否両論が噴出。世界第二の経済大国に上り詰めた自国に対する
中国人の優越感がゆがんだ形で現れている。
北京市公安局は八月末まで「不法入国」「不法居留」「不法就業」の違法外国人を取り締まる
百日運動を展開している。中国紙によると、中国に半年以上住む外国人は一九八〇年の
二万人弱から二〇一一年の六十万人近くに増加。違法外国人も昨年延べ二万人と十年で
倍増したという。
取り締まりが始まった五月半ば、中国中央テレビのキャスターが簡易ブログで、違法外国人の
排斥を主張。同時に「中国を化け物扱いする連中を黙らせて追い出せ」と書き込んだ。
ネットにはキャスターの発言を支持する書き込みが続出。中国紙によると、ネット上で行われた
世論調査では約95%が「預金額や不動産、職業の有無を調査し、外国人の入国ビザ基準を
厳しくすべき」と回答したという。
北京交響楽団員だったロシア人の列車内でのマナーの悪さを撮影した動画がネット上で
公開されると、ロシア人が楽団をクビになる過敏反応までもたらした。
ただ、キャスターの発言には、「少なくとも謝罪すべきだ」(中国青年報)との批判も出た。
また楽団の対応にも「狭あいな民族主義だ」と戒める声がある。
こうした騒ぎに北京市公安局は「百日運動は当たり前の警察業務であり、大多数の
外国人の合法的な権益を保障するための大切な施策だ」と理解を求めている。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/news/CK2012052802000083.html