クマ肉から新規制値超すセシウム、猟友会が困惑
ほぼ自己負担 「猟にメリットない」 2012年5月12日
県内で捕獲されたツキノワグマ2頭の肉から食品の新規制値(1キロ・グラムあたり100ベクレル)を
超える放射性セシウムが検出されたことを受けて、県が出したクマ肉の食用自粛などを求める通知が、
「コストをかけて猟をしてもメリットがない」と、猟友会に波紋を広げている。本格的なクマの出没期を
控え、有害鳥獣捕獲が進まない恐れがあることから、県はクマの買い取りなどを検討している。
県みどり自然課によると、4月18、21日に宮城、福島県境付近の上山市と米沢市で捕獲されたツキノ
ワグマ2頭から規制値を超える放射性セシウムを検出。県は同24日付で県猟友会に対し、問題のクマが
捕獲された上山市や米沢市などの県境付近の奥羽山脈の野生動物については、肉を食べることを自粛し、
処分するよう通知した。同課は「万が一の健康被害を避けるために行った」としている。
しかし、この通知に対する猟友会の受け止めは複雑だ。県に依頼される有害鳥獣捕獲も含めて、ほぼ自己
負担で行っているクマの猟は、自家消費を目的としてきたためだ。
県内18支部で構成される県猟友会の川越正副会長(72)によると、通知の後、上山市や米沢市など県
南部の会員を中心に、「セシウムが検出されたクマはともかく、そのほかも自粛対象となり、処分まで
求められるなら、猟を行う意味がない」などの声が上がっているという。
クマの捕獲に使用する銃弾は1発300円〜500円で、1匹仕留めるために、多いときには10発程度
使う。日常的な銃の手入れにも費用がかかるうえ、兼業している猟師は急な捕獲依頼があった時に仕事を
休んで対応している。
野生動物の放射性物質検査のための捕獲については、1頭あたり1万円ほどの協力金が支払われるものの、
複数人で猟を行うために個々人の取り分はわずかだ。
(>>2以降に続く)
▽読売オンライン
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/yamagata/news/20120511-OYT8T01268.htm