全国の商業用原発五十四基が五月上旬に全て停止することが確実になった。
枝野幸男経済産業相が十五日、徳島市内で講演し、国内で唯一稼働している
北海道電力泊(とまり)原発(泊村)3号機が五月五日に定期検査入りするのを受け、
稼働中の原発が「五月六日から一瞬ゼロになる」と明言した。
稼働する原発がゼロになるとの見通しを経産相が示したのは初めて。
経産相は、地元に要請している関西電力大飯(おおい)原発(福井県おおい町)3、4号機の再稼働が、
泊3号機の定期検査入りまでに間に合わないと判断したもようだ。
政府が進めるエネルギー政策の見直し議論にも影響を与えそうだ。
昨年三月の東京電力福島第一原発事故をきっかけに安全性への懸念が強まり、
定期検査入りした原発の再稼働が決まっていない。
経産相は今月十四日に大飯原発の地元の福井県を訪れ、西川一誠同県知事らに再稼働への同意を要請。
しかし西川知事は、再稼働を急ぐ政府に批判的な大阪市など関西圏の理解を得る必要性を訴えた。
このため経産相は、泊3号機が停止するまでの約三週間で再稼働に向けた調整を終えるのは難しいと判断したとみられる。
同じ会場で講演した民主党の仙谷由人政調会長代行は「脱原発依存が実現するまで、
真っ暗な中で生活を送るわけにはいかない」と述べ、大飯原発の再稼働に理解を求めた。
経産相は講演で「五年後か十年後か二十年後か分からないが、恒久的に原発依存度をゼロにする」と強調。
その上で「安全性を徹底的に検証しつつ、社会に不安と混乱をもたらさないプロセスで現実的に着実に原発を減らす」と述べた。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2012041602000085.html