・米ニューヨーク・マンハッタンの刑事裁判所で11日、てんかん発作の苦しみの中で母親を
殴り殺した容疑で19歳の青年が起訴された。
第2級殺人で起訴されたのはヘンリー・ワクテル被告。同被告が10日夜、てんかん発作に
襲われた際に、母親のカリン・ケイさん(63)は電話で救急車を呼ぼうとした。検察によると、
この10分間の通話は録音されており、この中に彼女が襲われる物音が入っていたという。
グレーブズ地方検事補は「息子のために救急車を呼ぼうとしていた母親を殴る物音が
録音されている」とし、「そこには『彼が追ってくる。やめて、やめて』という女性の声が
聞こえる」と述べた。
同検事補は、背景には叫び声とうめき声が聞こえるとし、「その後に、『ママ、ママ、死なないで』
という男性の叫び声が聞こえる」としている。警官がマンハッタンの西55丁目のアパートに
到着すると、そこには被告が「血にまみれ、どう猛な目つきをし、非常に興奮しているような」
状態でいたという。
警察関係者によると、マンハッタンの高校で英語の教師をしていたケイさんは、「頭部に
ひどい外傷」を負って床に倒れていた。彼女は病院に運ばれたが、午後1時50分ごろに
死亡が確認された。
フォーダム大学1年生の被告はてんかん治療用のさまざまな薬を服用している。逮捕された
あと被告は、事件の記憶がないと話し、弁護士を呼ぶよう求めたという。
被告は11日に、裁判所での審問の前に弁護士に会った際、感情的で活気に満ちているように
見えた。ジーンズとフットボールジャージーを身に付けた被告は審問のときにはうなだれ、
検察が緊急電話の通話内容を読み上げると、目に涙を浮かべた。
弁護士によると、被告は数年前にてんかんを発症し、その後薬を服用している。弁護士は
「これが悲劇的な状況であることは誰もが承知している」とし、「これには大量の薬が絡んでいて、
これが時として予想外の結果をもたらすということも、誰もが承知している」と強調した。
判事は被告の再収監を命じたが、これに対して弁護士は、被告はいつ症状が出ても
おかしくないとして、入院させるよう要請した。陪審評決は16日に出る。
http://jp.wsj.com/US/node_425018