・知り合いの経営コンサルタントから、韓国・サムスングループの社長と会ったときの
エピソードを聞き、世界を席巻する勢いの源泉が垣間見えた気がした。
「苦戦続きだった中東地域である機能を新たに付加した携帯電話がバカ売れしました。
何をつけたか分かりますか」。社長はいきなり、こう切り出してきたという。
答えは「磁石」。どこにいても常に、イスラム教の聖地メッカの方角が分かるような仕組みに
なっている。決まった時間にメッカの方角に向かって礼拝するため、この携帯は非常に
重宝がられたのだ。
“クイズ”は続いた。
インドで富裕層向けの大容量冷蔵庫を発売したが、当初はパッとしなかった。ところが
あるモノをつけたところ、一気に売れ出したという。正解は「鍵」。メイドらが“無断拝借”するのを
防ぐためだとか。そのほかにも、中国の農村地域では服だけでなく野菜も洗える洗濯機が
人気を集めているという。
現地に入り込んだ戦略のすごみは感じたものの、社長の自信満々ぶりに、知り合いは
「(日本は)技術で負けていないと思うだけに気分が悪かった」と話すのだが、返す刀で日本の
ものづくり企業のネックは「技術者」と言い切る。
え、どういうことと思ったが、理由を聞いて納得した。
日本製品はどこよりも優れているというプライドを持っているから、「どの製品にも最高の技術を
盛り込みたがり、消費者に近い販売現場からの意見を聞かない」のだという。
もともと、日本は先を行く欧米の背中を追いかけ、ものづくりの技術を磨いてきた。市場も
欧米が中心で、新たな機能を盛り込むほど売れた時代はあった。だから日本企業は、
技術開発をすべてに優先させてきた。
しかしいま、急速に存在感を増しているのは未成熟な新興国の市場である。そこで重要
なのは、より進んだ技術を開発する競争ではないのは確かだ。いままでのように他社が
たどり着けない「頂上」を目指すのではなく、ふもとに広がる未開のフィールドに
踏み込んでいく大転換が求められている。(大阪経済部長 佐藤泰博) (抜粋)
http://sankei.jp.msn.com/life/news/120410/trd12041008170007-n1.htm ※前:
http://uni.2ch.net/test/read.cgi/newsplus/1334022463/