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>>1のつづき)
第3には、鳩山政権が米国の核政策に反対し、日本への核抑止さえも揺らがせる結果となった。
鳩山政権の外相は米国に「核先制不使用」政策の採択を求め、日本の防衛の基盤を除去
することを迫る結果となった。また、鳩山政権はさらに米国の核兵器の配備や持ち込みに
ついての両国の秘密合意の調査をも開始した。
さらに最大の悪影響をもたらした第4の出来事として、鳩山政権が東アジア共同体の構想を
推進しようとしたことが挙げられる。
この構想は米国をこの共同体なる組織から除外することを意味しており、米国のアジアからの
排除を示していた。アジアでの米国の最も緊密な同盟相手であるはずの日本がこんな米国追放の
構想を打ち上げたことは、オバマ政権を仰天させた」
特に「東アジア共同体」構想については、「ベトナムまでが深刻な懸念を表明した」と述べていた。
「米国と戦ったベトナムがこの東アジア共同体なる構想の戦略的な愚かさを認識し、他方、米国の
アジアでの最大の同盟パートナーである日本がそれを認識しないという皮肉は痛烈だった」とも言う。
アジアの他の諸国も鳩山政権の主張するような東アジア共同体への動きが現実に始まれば、
もっぱらその構想の中心に立つのは中国であり、中国の影響圏の拡大をもたらすだろうと
考えていたとも言う。
だからこの構想にはオーストラリア、シンガポール、韓国、インドネシアの各国も明確に反対
していたとのことだった。要するに鳩山政権はアジア各国の反対を押し切る形で東アジア
共同体構想を進めようとしたと言うのだ。
ベーダー氏はこの時期が米国にとって、さらには日米同盟にとっては、「非常に苦しく危険な
時期だった」と評し、「それでもなお米国側の忍耐がどうにか最悪の危機を避けることとなった」と
オバマ政権側に危機回避の功を与えていた。
だからオバマ政権の高官たちが鳩山首相自身を指して「ルーピー(愚かな)」と断じていたと
いうのも、いわば自然ということになりそうだ。
1人の無知な政治指導者の登場は、長年、両国民が汗を流して築いてきた日米同盟の基盤さえ
一気に崩しかねない、ということでもあろう。(以上、抜粋)