東京電力は、政府の「原子力損害賠償支援機構」から福島第一原発事故の賠償のため
公的資金を受け、事実上、公的管理されている。西沢俊夫社長は、「親身な賠償と徹底した
合理化を進める」などと殊勝な発言が多いが、事故後、一年たっても競争のない地域独占企業の
独善的な姿勢が頻繁に表れる。
今年一月、大口契約の法人の電気料金を四月から平均17%引き上げると発表。
これに東京都をはじめ激しい反発が起きると、今後十年で二兆六千億円としていた合理化により
生み出す費用を三兆円以上に引き上げた。「さらに身を切る」姿勢を示し値上げに理解を
得ようとしたとみられるがそれまでの合理化計画が「徹底した」ものではなかったことを露呈。
増額した計画も十分なのかと疑念を生んだ。
現在、東電の経営問題で焦点になっているのは支援機構と共同で三月中に策定する
「総合特別事業計画」。今後の資金計画や経営体制などを盛り込むが、国は財務基盤の
強化のため、約一兆円の公的資金を投入する。
枝野幸男経済産業相は、抜本的な東電改革を実行するため、国が単独で重要事項が決められる、
議決権のある株式の三分の二以上の取得が必要と考え、実際に国が経営権を握る方向が
強まっている。一方、東電は「効率的な設備形成には、民間が望ましい」(西沢社長)のが本音。
国が前面に出ることで財政負担が増えかねないことを懸念する財務省に水面下で働きかけ、
国の取得割合を低く抑えようとしたとされる。
東電得意の「霞が関や永田町の工作」(枝野経産相)で、深刻な原発事故を起こした後にも
かかわらず変わらぬ体質に、経産相は不快感を示している。
*+*+ 東京新聞 +*+*
http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/news/CK2012031102000037.html