昨年7月、愛知県岩倉市の県道で母子2人が死亡した9台が絡む玉突き事故で、名古屋地検一宮支部は、
自動車運転過失致死の疑いで逮捕、送検された同県江南市赤童子町の元行政書士の男性(79)を不起訴にする。
男性は運転中にてんかんの発作で意識を失ったが、持病の自覚がなく、発作の予見は困難で
刑事責任は問えないと判断したとみられる。遺族は、不起訴の方針を不服としている。
捜査関係者によると、男性は事故直後から一貫し「なぜ事故が起きたのか分からない」と供述。
検察は、病疾患で意識を失った可能性を捜査。専門医の鑑定で、てんかんの発作が原因と診断された。
しかし、てんかんの通院歴などは確認されず、持病と認識していなかったとされる。
運転を控える注意義務を怠ったとはいえず、過失の認定は困難と判断したもようだ。
事故で妻子を亡くした松原政輝さん(40)=江南市古知野町杉山=は今月上旬、担当検事に呼ばれ、
不起訴の方針を告げられた。「過去に一度も発作がなく、自覚がなかったのは本当なのか。納得できない」
と話す。松原さんの弁護人は「不服として、検察審査会への審査請求も検討する」と話している。
江南署によると、男性は昨年7月10日、岩倉市の県道で乗用車を運転していて軽乗用車に追突後、
約70メートルを減速せず走行し、信号待ちの車列の最後尾の主婦松原国代さん=当時(39)=の
軽乗用車に突っ込んだ。国代さんと助手席にいた長男の小学4年優希君(9つ)が死亡した。
江南署は自動車運転過失致死の疑いで、男性を逮捕したが、
地検一宮支部は処分保留で釈放し、在宅に切り替えて捜査してきた。
(中日新聞)
2012年2月27日 09時15分
http://www.chunichi.co.jp/s/article/2012022790091507.html