生き残りをかけて模索した国内外メーカーとの提携でも危機を打開できず、万策尽きた形で会社更生法の適用を申請した
エルピーダメモリ。“日の丸半導体”の破綻は、政府の産業政策が頓挫したことも意味する。
今3月期決算では電機業界を中心に業績の大幅悪化が目立っており、第2、第3のエルピーダが現れる恐れも否定できない。
「関係者の打つ手が遅すぎた」。支援を続けてきた銀行関係者らは今回の破綻劇をこう振り返る。
銀行の間では昨年秋ごろから、エルピーダ支援をめぐり「積極派」と「慎重派」に色合いが分かれ、
思い切った再建支援を打ち出すことができなかったためだ。
エルピーダは米半導体大手マイクロン・テクノロジーや台湾メーカーとの提携交渉を行ってきた。
だが、エルピーダ支援を後押ししてきた経済産業省では、元審議官によるエルピーダ株にからむインサイダー事件が起こり
「派手な動きができない」(幹部)状況に陥った。さらにマイクロンの経営トップが今月、飛行機事故で死亡。
満を持した提携交渉は不調に終わった。
エルピーダの破綻で、日本の半導体産業をかつてのようによみがえらせて
韓国勢に対抗する戦略を描いた政府の思惑は完全に頓挫した。
背景には、かつて「産業のコメ」と言われた半導体が今では製造装置さえあれば簡単に作れる
「汎用(はんよう)品」になったという現状がある。エルピーダが手がけるDRAMなどの半導体はことごとく
サムスン電子など韓国勢の後塵を拝しており、日本勢の技術的優位性も失われた。
政府は平成21年、エルピーダを産業活力再生法(産活法)の第1号に認定して再生を後押ししたが、
枝野幸男経済産業相も27日、記者団に「現在のエルピーダの位置付けは(産活法に認定した)当時とは大きく異なっている」と認めざるを得なかった。
日本の電機業界はかつてない苦境にある。半導体分野では、ルネサスエレクトロニクスと富士通、パナソニックが
採算の悪化しているシステムLSI(大規模集積回路)事業の統合交渉を進めている。
その際、政府系の産業革新機構が音頭をとっているが、韓国勢の攻勢に対し日本の官民挙げた対応が
後手に回っていることは否めない。
http://sankei.jp.msn.com/economy/news/120227/biz12022721470026-n1.htm