【社会】 "パチンコより酷い" ドリランド、レアカード欲しさに「数億円」動く…GREE「現金売買禁止してる」、消費者庁「問題なし」★2
・旬の芸能人を起用した大量のテレビCMで華やかなイメージの「ソーシャルゲーム」。
だが水面下ではゲームの枠を超えた異常な事態が進行していた。
きっかけは「2ちゃんねる」だった。
「カード増殖方法流出。これでいいかな? まあ間違ってても別にいーや、俺スーパーレア
持ってないし(中略)増殖して転売する人が出てきています注意」――。
2月19日、日曜日の未明、ソーシャルゲーム関連のスレッドにこんな投稿が載った。
不正行為の手順を示した告発だ。舞台は「TOKIO、ドハマリ中。ド、ド、ドリランド」のCMで
おなじみの「探検ドリランド」。「GREE」で提供する人気のカードバトルゲームで、数百万人
規模の登録ユーザーがいる。
投稿には、システムのバグ(不具合)を突いて、手持ちのカードをいくらでも増殖できる方法が
記載されていた。次々と増殖に成功した証拠画像がアップされるなど、試したユーザーが
狂喜乱舞。それが広くネット上に伝わり、一時、騒然となった。
強いカードは1回300円ほどの「ガチャ」を回せば入手しやすい。強いカードほど出現する
確率が低く、ユーザーは出るまで何回もガチャを続けることになる。ゲーム提供会社に
とっては、これが主な収益源。なかには10万円以上使っても入手できない希少な「レアカード」も
存在し、保有するユーザーは羨望の的だ。
不正行為を確認したグリーは21日昼ごろから一部ユーザーの複製カードを順次、削除。
アカウント停止などの処分を行ったうえで、21日18時ごろトレード機能を再開させた。
一応の収束をみた「ドリランド騒動」。しかし問題の根と尾は依然として残ったままだ。
過去90日間にヤフオクで取引が成立したドリランド関連の落札件数は約5万8800件。
額にしてじつに4億円超。単なるデジタルの「絵柄」が、月間1億3000万円以上も現金に
換金されていた。同期間にカードを売却した出品者数は約3万5000人もいる。ところが。(
>>2-10につづく)
http://www.nikkei.com/tech/business/article/g=96958A90889DE1EBE2E1E0E4E4E2E0E1E2E0E0E2E3E0E2E2E2E2E2E2;p=9694E2EBE3E3E0E2E3E2E1E7E2E4 ※前:
http://uni.2ch.net/test/read.cgi/newsplus/1330320970/
(
>>1のつづき)
「ヤフオクでの過去90日の『ドリランド』関連出品を調べたら、上位30人で1億2000万円の
取引高。1000万以上の売り上げを出しているユーザーも2人いた」―。
不正行為が発覚した19日夜、アサップネットワークの西山社長のつぶやきがツイッター上を
駆け巡った。
そのトップを誇る、熊本県を発送元とする「C」さんは、不正行為が発覚する数カ月前から
掲示板などでは有名な存在だった。ヤフオク履歴を積み上げると、その数1500件超。金額は
3100万円以上にのぼる。
2月1日、グリーは「冬姫メイチェリ」という新たなSSRカードを追加した。それまでドリランド最強と
いわれていたカードをしのぐ能力を備えるだけに、入手は困難を極める。Cさんはイベント開始後
わずか数時間で、冬姫メイチェリをヤフオクに出品。
Cさん最大のライバルとなったのが埼玉県を発送元とする「H」さん。即決価格をCさんより安い
4万5000円〜5万円とし、1日午前中から次々と売り始めた。
「ほぼ複製確実か」「HもCも複製で私腹が肥やせるからアレだよな」…。掲示板の住民はすでに
この時点で複製方法があることを確信していたようだ。
知られざる換金市場の実態。だが、なぜこうも多くの客が存在し、数万円から十数万円という
大金をはたくのか。
ソーシャルゲームは、ボスを倒せば終了する従来のゲームとは違い、終わりがない。
運営会社は新手のイベントを続々と用意し、出回る最強のカードよりさらに強いカードを
投入していくことで、一度囲い込んだユーザーが飽きないよう工夫を凝らしている。必然と
新たな最強カードは、より入手困難にせざるを得ない。よりお金がかかるということだ。
前述のように強いカードほど運任せのガチャで引き当てるのは困難。100回引いて1回も
当たらないようでは客離れを引き起こす。そこで導入されたのが、特定のカードをガチャで
コンプリートしたユーザーだけに「限定レアカード」をプレゼントするという手法だった。
いわゆる「コンプガチャ」である。超低確率のガチャよりは心理的な壁が低くなり、「射幸心」を
あおられやすい。(
>>3-10につづく)
(
>>2のつづき)
グリーはゲーム内での課金比率など詳細を開示していないが、ゲームに参加する全ユーザーの
数%がこのコンプガチャに挑戦し、同社に莫大な収益をもたらしているといわれる。
実際にどういうものなのか―。記者は、GREEで最も人気が高いとされる「ドラゴンコレクション
(ドラコレ、提供はコナミデジタルエンタテインメント)」のコンプガチャを試してみた。
登録ユーザー数が550万人を超えるドラコレは、コンプガチャの草分けでもある。試したのは
2月6日までの期間限定で開催されていた「コンプシート6」というイベント。(中略)
だが、1050円、次の1050円と計10回分の追加投資をするも、出る雰囲気すら感じられない。
「もうやめよう」。心が折れそうになる。でも、また決済のボタンを押す自分がいる。
すでに1万6800円も使ってしまった。後には引けない。「出るまでやってやる」。その直後だった。
次の1050円を決済した1回目、通算55回目にようやく最後の1枚を引き当てた。20倍の攻撃力を
誇るカードを手に入れ、ゲームイベントを最終到達地点のボスに勝つまで進めた。イベント最終日には
8万人ほどが最終地点にいた。つまり少なくとも8万人がコンプガチャも達成したと推測される。
550万人中の8万人になれたという達成感と優越感。と同時に、単なるゲームのイベントに2万円近くも
費やしてしまった自分に対する複雑な感情も襲ってきた。
ドリランドには、10回分の価格、約3150円で11回分のガチャを一気に回す「11連ガチャ」が存在する。
10回やるだけで3万円。単価が高い分、10万円まで簡単にいってしまう。
コンプガチャの恐ろしさを知る者であれば、5万円だろうが安く感じてしまうのだろう。だから数万円
という値付けでも大量の客がつく。複製方法をひそかに知っていれば打ち出の小づちを手に入れたも同然。
不正な換金が容易に成立する素地ができていたのだ。
一方で、正当にゲームを楽しみ、数万円、数十万円を課金してきたユーザーの怒りが
ゆがんだ形で露呈。ヤフオクでカードを購入したユーザーが購入元の個人情報を暴露。
それをもとに住所や電話番号、家族の仕事などが次々と暴かれ、売り手に罵詈雑言が
浴びせられた。(
>>4-10につづく)
(
>>3のつづき)
矛先はバグを残し、掲示板などで可能性が指摘されていても対応できなかったグリーにも向けられた。
じつは、グリーはアイテムを売買をする「リアルマネートレード(RMT)」を規約で禁止している。
だが実際は活発に行われているのを知りながら、事実上「容認」の状態にあった。広報は「放置を
していたわけではないけれど、なくなっていない現状がある。今後の対応を含めて検討している」と
するが、具体策は見えない。グリーは24日、「(RMTも含めた)禁止行為の監視強化を図り、
禁止行為をGREE外から助長する事業者や個人へ厳格に対処する」と発表したが、効果は未知数。
例えばヤフーに対し、どう厳格に対処するのか具体策が待たれる。
パチンコ店やゲームセンターなどの遊技場は風営法の規制下にあり、未成年の出入りや営業時間が
限られる。パチンコやスロットは警察の監督のもと、出玉確率などの射幸性が厳しく管理されている。
この2月に復刻した「ビックリマンチョコ」に入っているシールやスナック菓子のカードすらも、景品表示法に
よって出現率が定められている。だが、ガチャにはそうした制約がいっさいない。
2月16日に消費者庁で開かれた「インターネット消費者取引連絡会」の会合で、参加者が「ガチャに
景品表示法違反の可能性がある」などと指摘している。だが、消費者庁表示対策課は「ガチャは取引に
付随する景品ではないので景表法の景品規制には該当しない」と特に問題視はしていない。会合を
取り仕切る政策課も「あくまで参加者のご意見。問題意識を持つ必要はあると認識しているが、今すぐ
法改正をという議論は現状ない」と言う。
「インターネットを通じて、世界をより良くする」――。グリーの田中良和社長が掲げる社是だ。
確かにソーシャルゲームは株式市場の活性化や雇用をもたらした。世界に進出できる一大産業へと
成長した。だが本当に日本は良くなっているのだろうか。(以上、抜粋。本文はかなりの長文です)