東日本大震災で被災した福島県からの避難者を招き、震災当時の状況や今の生活について思いを語る座談会が
19日、「とちぎ市民活動センターくらら」(栃木市境町)であった。避難先での窮状を訴える
被災者の話を聞き涙を見せる人もいた。壁掛けタオル作りの交流を通しては参加者から笑顔ものぞいた。
震災支援を行うNPO法人とちぎボランティアネットワーク(Vネット、宇都宮市)が企画。
「震災の風化を防ぎ、支援のあり方を考える機会にしたい」と、
1月中旬から宇都宮市を皮切りに今回で3回目の開催となった。
参加したのは福島県楢葉町から茨城県日立市に避難した坂本栄子さん(73)と息子の妻の和枝さん(46)、
双葉町から宇都宮市に避難している渡部テイ子さん(71)の3人。渡部さんは福島第一原発から約3キロに住み、
避難先の中学校の校庭で食事も満足に取れず一晩明かした思い出に触れ、「考えると涙が出てくる」と目に涙を浮かべた。
また和枝さんは、ツイッターで「福島の人とは結婚するな」などの投稿を知り、心を痛めた。
「福島の避難者を汚いものを見るような目ではなく、温かい目で見守って頂きたい」と涙ながらに訴えた。
参加者の橋本優子さん(68)は「知らない現実が聞けた。地震災害は不意に来るし、
1人では生きていけない。地域の輪を大切にし、子どもたちにも伝えていきたい」と語った。
会では、被災者がゾウの顔の形をした壁掛けタオルを作る「まけないぞう」活動も紹介。
一枚のタオルを縫い上げて作り、1個400円で販売。そのうち100円が作り手に渡る仕組みだ。
1995年の阪神淡路大震災後、市民団体が被災者の自立支援を促すために始めた取り組みだ。
Vネットが昨春から作り手の養成講座を開き、今では宮城や福島をはじめ、
栃木などに23人がいるという。これまで約9千個を製作し、「常に品薄状態」と販売も好調だ。
ボランティアの滝口奈緒美さん(38)は「タオルを作る被災者の方が元気になっていく姿がうれしい。
活動の中で周囲とのつながりが生まれ、交流が深まっていくのも実感した」と話す。(佐藤英彬)
2012年02月20日
http://mytown.asahi.com/tochigi/news.php?k_id=09000001202200003