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826名無しさん@12周年
★株主資本主義が日本のIT産業を変える(抜粋)  5

 その代わり重要になってきたのは、社風(corporate culture)と社員のモチベーションだ。
グーグルは2004年に株式を上場した際、創業者のセルゲイ・ブリンとラリー・ペイジ、CEOの
エリック・シュミットの3人だけが1株10票の議決権を持つことにした。ウォール街はこれを
「株主民主主義の否定だ」と批判したが、彼らは「当社にとっては株主価値の最大化は最優先の
目標ではない。もっとも重要なのは世界の情報を組織化するという使命だ」とコメントした。
これは一種の「賢人政治」と言え、今までのところ、彼らの賢人政治は成功しているようにみえる。
 彼らが重視するのは、スタッフがいつも「おもしろい仕事」をしていると感じるモチベーションだ。
その意味で、グーグルがCCO(最高文化責任者)という役員をつくったのは、株主資本主義の
次のシステムの試みとして面白い。
 また、シスコシステムズは100近い企業を買収してきた結果、一つの企業というよりサンノゼ市内に
散在する数十の企業のゆるやかな連合体になっている。それを統合しているのは、垂直統合企業が
持つ縦の命令系統ではなく、シスコのブランドと、どこのビルでもスーツを着た社員は1人もいない
といった社風である。ジョン・チェンバースCEOが企業を買収するときの基準は、「カルチャーが
合うかどうか」だという。いくら高収益の企業であっても、社風が合わないなら買収しない。
特に敵対的買収は絶対にしない。
 日本の会社も「人本主義」などと賞賛された時期があったが、日本の企業が大事にしているのは、
自立した個人ではなく、会社に忠実な「従業員」だ。そして従業員も、その会社や仕事が好きで
一生そこにいるわけではない。
 日本とイギリスの工場で行なわれた調査では、「あなたは自分の会社がいい会社だと思うか?」
という質問に、イギリスでは「イエス」と答えた従業員が75%だったのに、日本では39%しか
なかった(ドーア、『イギリスの工場、日本の工場』、筑摩書房、p.233)。日本のサラリーマンは
辞めても他の会社で生かせる専門知識がないから、会社にしがみついているだけだ。
彼らは所属している企業でしか役に立たない“汎用サラリーマン”なのである。