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821名無しさん@12周年
★株主資本主義が日本のIT産業を変える(抜粋)  4

日本の銀行や証券(あるいはその系列のVC)のように、はなからリスクを回避する姿勢では、
リターンを取れない。シリコンバレーで設立されるベンチャーのうち、IPO(上場)までこぎつける
のは数%だと言われるが、それでも例えばグーグルが一発当たれば十分だ。
 これは、ある意味で初期の株式会社に先祖返りしているとも言える。前述の通り、株式会社への
出資はクジ引きみたいなものであったし、現代のVCのポートフォリオも洗練されたクジ引きの
一種だ。当たれば大もうけ、当たらなくても自己責任。ベンチャーの経営者も個人保証は
しないので、出資金が返済できなくなったら会社を解散して終わりにでき、借金を一生負う
ことはない。安倍晋三・元首相が言った「再チャレンジ」しやすいシステムなのだ。
 しかし大銀行の支配力が圧倒的に強い日本では、こういう株式ベースの資金供給システムが
育たない。1500兆円の個人金融資産の半分以上が預貯金になり、その多くが国債で運用されて
いる状況では、リスクをとって起業することは難しい。外資系ファンドによる企業買収は系列構造を
壊し、企業を解体・再編するきっかけになるかもしれない。買収防衛策を強化するのは、そうした
変化を妨害する政策である。

  株主資本主義の先にあるもの

 もちろん、株主資本主義が万能というつもりはない。特に、IT産業の世界では、株主資本主義の
限界も見え始めている。製造業なら、企業を買収すれば、物的資産の所有権によって被買収企業を
コントロールできるが、IT産業のコアは物的な工場ではなく、人材だ。かつて世界最大級の
広告代理店だったサーチ&サーチが1995年に創立者のサーチ兄弟を追い出したとき、彼らが
仲間を引き連れて新しい会社をつくり、元の会社は没落してしまった。
 IT産業の場合も、企業買収で人材まで買うことはできない。2008年2月、マイクロソフトの
ヤフー買収劇が話題となった。結局、買収は成功しなかったが、仮にマイクロソフトが買収を
強行した場合、ヤフーの優秀なスタッフが例えばグーグルに移籍してしまったら、残った会社に
ほとんど価値はないだろう。だから「株主価値を最大化する」という資本主義のマントラは、
IT産業では必ずしも正しくないのだ。