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820名無しさん@12周年
★株主資本主義が日本のIT産業を変える(抜粋)  3

  株式会社の原点に帰れ

 ではITゼネコン達がどうやって局面を打開するのかといえば、役所にぶら下がって
「日の丸技術」を世界に広めることで技術の主導権を奪い返そうとしている。経産省の
「情報大航海プロジェクト」や文科省の「京速計算機」などがその典型だ。こうした
官民プロジェクトは、1980年代以降ひとつも成功したことがない。それは民間の系列構造より
さらに硬直的で、市場や技術の変化に弱いからだ。
 重要なのは、現在の下請け構造を壊し、リスクの高い独立系のベンチャー企業が自力で
資金調達できるシステムを作ることだ。株式会社はもともと、そういう投資のための制度だった。
16世紀後半から始まった「大航海時代」(植民地時代)には、香辛料などを求めて東方に
航海するプロジェクトは「今日でいえば宇宙探査に投資するのと同じぐらいリスクが高かった」
(ミクルスウェイト他、『株式会社』、ランダムハウス講談社、p.40)。そこでオランダやイギリスの
「東インド会社」などの大規模な植民地事業では、収益の権利を株式として細分化し、
多くの投資家にリスクを分散する方式がとられた。
 このときの最大のイノベーションは有限責任という考え方だ。家族経営やパートナー制は
無限責任なので、会社が巨額の負債を負って破綻した場合、出資者は場合によっては
全財産を提供しなければならない。これではリスクが大きすぎるので、最悪の場合でも
株式が紙切れになるだけに責任を限定して、投資家を保護したのである。
 だから株式は、当初は航海のたびに募集されるクジのようなものだった。事業体に出資する
形になってからも、株式を売買する市場ができたので、いつでも売れる柔軟性がある。
つまり本来、株式会社という方式は、ベンチャー企業のようなプロジェクト・ベースの事業に
向いているのだ。
 ITのように市場や技術の変化が速く、不確実性が大きいときには、色々なプロジェクトに
広く投資して「ポートフォリオ」を組み、段階的に増資していく、ベンチャー・キャピタル(VC)の
ような方式が向いている。当然、失敗したものは打ち切る。