塾に通わせ、習い事をさせ、育児本を読んで研究する。親は我が子を「できる子」に育てようと奔走する。
でもその努力、実は逆効果かも・・・。あなたの子育て、間違ってるかもしれません。
今から25年くらい前からでしょうか。入学してくる学生が、あまり勉強をしなくなっているということに気付いたんです。
医大に合格するくらいですから、暗記力は高いのですが、知識を入れて出すだけのロボットのような、
自分の頭で考えない子供が目立ってきました。
そこで、成績の良くない学生の中でも特に問題の多い学生については、本人はもちろん親へのヒアリングも行い、
どのような子育てをしてきたのか、聞き取り調査を始めたんです。
分析してみると、面白い結果が出ました。親の社会的ステータスや職業、育て方が、
子供の成長にかなり密接に関わっていることが分かったんです。
たとえば、無気力症候群になる学生には、父親が高学歴だったり、成功者であるというケースが非常に多かった。
オガタ君という男子学生がいました。非常に頭が良いのですが、なぜか劣等感の塊みたいな子で、
全然自主性がない。勉強に対しても、すごく消極的なんですね。
お父さんにもヒアリングしたいと思ったんですが、全然出てこない(笑)。
何度も何度も呼びかけて、ようやく来たと思ったら、地方の名士でした。
「あなた、この子がどんなに勉強を頑張っても褒めなかったでしょう。ちょっとでも失敗したら、
『こんなこともできないなんて、バカだ』と叱って育ててきたでしょう」
そう聞いたら、その通りだと。自分が優秀な人は、息子のやることがいちいち気に障るわけです。
その上、できない人間の気持ちが理解ができない。だから、すぐに「バカだ」、
「どうしてできないんだ」という類いの言葉を発してしまうんです。
子供のほうも、どんなに頑張っても、良い成績をとっても褒めてもらえなければ、
勉強をしてもちっとも楽しくありません。小さい時からずっと「負け犬」精神を刷り込まれてしまったら、
もう学習意欲も萎え切ってしまいます。
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