【コラム】中日春秋 2012年1月24日
http://www.chunichi.co.jp/article/column/syunju/CK2012012402000010.html 昨年夏の電力危機キャンペーンは記憶に新しい。政府や電力会社
は企業や家庭に節電を強く要請した。ただし、その内実はお粗末だった
▼平均的な家庭は大型エアコン二・六台が動いて、留守中でもペット
のために三分の一はエアコンを切らない…。そんな現実離れした東
▼結局、昨年の夏、東京電力で供給力に占める使用率が90%を超
えたのは一日だけ。自動車業界などの輪番操業、企業や家庭の節電
の努力も大きかったと思うが、推計が最初から「どんぶり勘定」だったのだ
から当然だろう
▼今年の夏も最大電力需要に9・2%不足するという試算が昨年公表
された。ところが、この試算とは別に、電力には最大6・0%の余裕がある
という試算も菅直人首相(当時)に報告され
▼2・8%の余裕があるとする試算もあったが、いずれも公表されなかった。
最も電力需要が切迫する試算以外は隠されていたことになる。原発に依
存せずに昨年の夏を乗り切ったことを考えると、9・2%の不足という数字は
信じ難い
▼どうしても原発を動かしたい人たちが、電力不足をあおりたてる数字をこ
れからも出してくるだろう。そこに潜むうそを見破っていきたい。