●漁業復活の願い込める
【知多の自治会、気仙沼の漁師へ】
東日本大震災の後、義援金を贈ったことが縁で知多市の朝倉団地自治会と、
宮城県気仙沼市唐桑(からくわ)町の漁師たちの交流が始まった。自治会は15日、
同町の漁業者団体を励ます大漁旗をつくり、復興を願うメッセージとともに送った。
知多市つつじが丘1、2丁目の住民約270人で構成される自治会は今年7月、
夏祭りの収益の一部を被災地の復興に役立ててもらおうと考えた。
送り先を思案していたとき、住民の一人がインターネットで目にしたのが、
気仙沼市の団体「唐桑の海を守る会」の活動だった。
守る会は、津波に襲われ、定置網や冷凍施設が壊滅的な被害を受けた
町の漁業を再起させようと、復興基金の創設に向け、寄付金を募っていた。
知多市もかつて漁業が盛んだったが、伊勢湾台風で被害を受けた後、
臨海部が埋め立てられ、工業地帯に変わった歴史がある。そこで、
「唐桑町には、もう一度豊かな海を取り戻してもらいたい」と願い、自治会が5万円を送ったのが、始まりだった。
11月、自治会の事務所にいた役員たちは驚いた。守る会からお礼として、真空パックされた
メカジキの切り身が届いたからだ。気仙沼港で水揚げされた最高の一品で、脂がのっていておいしかった。
包みの中には、漁業復興のため、全国から一口5千円を募り、唐桑町からは
メカジキを送るプロジェクトの紹介チラシも入っていた。自治会は、数ブロックの切り身を注文。
知多市産のミカンと、派手な色の大漁旗をつくって贈り、エールを送ることにした。
すると、計画を知った唐桑町から、漁船の名前が入った使い込まれた大漁旗が送られてきた。
今月11日にあった自治会のもちつき大会では、両方の旗を並べて掲げ、みんなでメカジキの刺し身を味わった。
自治会長の森川敞介(しょうすけ)さん(68)は「住民の中には、すぐ唐桑町に電話をし、注文してくれた人もいたようだ。
今後も支援の輪を広げ、漁師のみなさんを励ましていきたい」と話した。(佐藤仁彦)
2011年12月18日
http://mytown.asahi.com/aichi/news.php?k_id=24000001112190014