・まさに「国辱行為」である。日本国民を代表し、相手国の元首に対して派遣される特命
全権大使のセクハラという蛮行が発覚した。しかも、外務省は事実を把握しながら、
財務省の天下り大使だから“遠慮”して不問に付した。「国益よりも省益」という言葉では
到底言い表わせない前代未聞の事態である。
バルカン半島の小国・クロアチアは、古くからの親日国として知られる。
東日本大震災の直後、クロアチアの官公庁が集まる日本大使館周辺では政権交代を求める
5000人規模のデモが行なわれていた。そのデモ隊が大使館の前を通りかかった時である。
彼らは一斉に足を止め、手に持っていたろうそくに灯をともし、震災で亡くなった日本人の
ために黙祷を捧げた。
11月末の大使館終業直後、その玄関前で、田村義雄・駐クロアチア大使(64)は本誌直撃に
顔をこわばらせた―。
田村氏の経歴は大使の中では異色といっていい。東大法学部出身で、1971年に大蔵省に入省。
霞が関中枢のエリートコースを歩み、財務省関税局長まで上りつめる。それから環境省に移り、
官房長、事務次官を歴任し、2008年に退官した後、2009年から現職に就いた。つまり、外務省の
プロパー官僚ではない。
日本の特命全権大使の中でも2人しかいない事務次官経験者という大物だ。その人物に
現地採用したクロアチア人女性へのセクハラ疑惑が発覚した。ことは大使個人の問題では
済まされない。重大な外交問題に発展しかねないと憂慮されているのである。
実は外務省はその事実を把握しながら、ひた隠しにしているという情報を本誌は掴んだ。
「大使のセクハラ」は大使館内で問題化し、外務省は現地に査察官を派遣して調査を
行なっている。その報告書は佐々江賢一郎・外務省事務次官や木寺昌人・官房長らに
提出されたといい、外務省局長クラスにも回覧されている。(
>>2-10につづく)
http://www.news-postseven.com/archives/20111205_73799.html