日光市水道課職員の逮捕を受け、同市幹部が28日、市役所で緊急記者会見を開き、
斎藤文夫市長は「合併以来5年間、市民と築いてきた信頼関係が瓦解してしまったような気がする」と
苦渋の表情を浮かべた。1月から導入した新たな入札制度と事件との関連が指摘され
「二度と事件を起こさないという視点で検討していく」と入札制度変更の可能性も示した。
市は同日、副市長名で、各所属長に法令順守の徹底を求める通知を出し、
業務の再点検や厳重な管理体制確立を求めた。斎藤市長は
「信頼回復に向けて、職員一丸となって全力で取り組んでいきたい」と決意を述べた。
市は原則、工事の予定価格を事前に公表しているが、1月から
3千万円以上の建設工事については入札後に予定価格を公表する事後公表制度を
試行している。事後公表は国が指導する方針だが、県内でも取り組みは多くないという。
予定価格を事前公表すると各業者は最低価格を積算しやすくなり、同額の入札で
「くじ引き」落札が相次ぐとされる。湯沢光明副市長は「くじ引き落札が続くのは
アブノーマルな状況で、これを打破するため取り組んでいる」と説明した。
一方、予定価格の事後公表で内部的にも懸念されたのが、業者が
最低価格を聞き出そうとして職員への働き掛けを強めることだった、という。
事後公表の試行から1年も経たずに、今回の水道施設整備工事(予定価格4013万円)で
情報漏えい容疑事件が発覚。新制度と事件の関連について斎藤市長は
「入札制度の改革という問題と情報漏えいという問題は次元が違う」と前置きした上で、
「すべていい制度というものはないが、事件が起きてはいけないという視点で検討していく」と
入札制度を再度検討する方針を示した。
(11月29日 05:00更新)
http://www.shimotsuke.co.jp/dosoon/official/20111128/667796