【裁判】 「(わいせつ事件で裁判中の男)の親族は強姦被害を受け、妊娠中絶した」 検事 福岡地裁公判で明かす

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1かしわ餅φ ★
強制わいせつなどの罪に問われた20代の男性被告に対する福岡地裁の公判で、福岡地検の検察官が
被告人質問の際、被告の親族がかつて強姦(ごうかん)の被害に遭ったことを明らかにし、裁判長から
質問のやり直しを命じられていたことが分かった。検察官は親族の続柄を具体的に示しており、被告を知る人は
誰が性犯罪の被害に遭ったか特定できたことになる。地検幹部は「適正さを欠いた発言だった」としている。

 性犯罪の被害者にとっては、捜査や公判で被害の状況が詳しく明かされることによる二次被害が指摘され、
近年は公判でも実名を明かさないのが一般的だ。検察官の発言は直接法に触れるものではないが、
識者は「名誉を毀損(きそん)する発言だ」と批判している。

 被告は、女性にわいせつな行為をして現金を奪ったとして起訴され、一部否認していた。

 検察官の発言は5月の公判の被告人質問であった。地検などの説明によると、検察官は「あなたには親族
(続柄を特定)がいますね」と聞き、被告が「はい」と答えると「強姦の被害に遭ったことがあるのではないですか」と
質問した。

 弁護人が異議を唱え、裁判長は質問のやり直しを命じた。検察官は「あなたが被害者にしたようなことを親族(同)が
された場合に、あなたは肉親の立場でどう思いますか」と聞き直した。

 弁護人は「検察官は、親族が強姦されて妊娠し中絶手術を受けたことにも言及した」とするが、地検はこの部分は
認めていない。被告は公判後、弁護人に「頭が真っ白になり、怒りで検察官に飛び掛かりそうになった」と話したという。

 判決で被告は有罪となった。地検によると、親族側から抗議はないという。新倉英樹次席検事は「プライバシーの
配慮に欠けた発言だった。厳しく指導していく」と話した。

 弁護人は「被告を追及するには何を言ってもいいという検察の独善的な体質が表面化したといえる。検察官は
強大な権力を持っていることを認識し、言動は慎重にすべきだ」と語った。

=2011/10/29付 西日本新聞朝刊=

「被告の親族強姦被害」 検事 福岡地裁公判で明かす / 西日本新聞
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/item/270798