東京電力福島第1原発の事故を受けて漁を自粛していた全国のサンマの漁業者らは先週、
同原発の半径100キロ以内の海域での「操業禁止」を決定した。日本原子力研究開発機構は先月、
海洋の放射能放出総量は東電推定値の3倍以上との試算を発表。文部科学省もセシウム137の
濃度が事故前の最大58倍に達することを明らかにしており、大震災から7カ月たった今も
同原発周辺の海洋汚染は深刻だ。水産物に対する消費者の不安は募る一方だが、汚染は
どこまで広がっているのか。
原発事故以降、福島の漁業関係者は操業自粛を続けてきたが、それに追い打ちをかける事態が
現実となった。全国のサンマ漁業者で作る「全国さんま棒受網漁業協同組合」(全さんま、東京)は
今月7日、サンマ漁の操業自粛区域としていた福島第1原発から半径100キロの海域を操業禁止と
決めたのだ。
回遊魚のサンマは北海道沖から次第に南下している。北海道で水揚げされたサンマからは暫定規制値
(1キログラムあたり500ベクレル)を上回る放射性物質は検出されていないが、全さんまは「安全性を
高めるため」と操業禁止を決めた。
その背景には、原子力機構が発表した衝撃の数値がある。同機構は汚染水の流出に加え、大気中からの
降下分などを合わせた海洋への放射能放出総量が1・5京(1京は1兆の1万倍)ベクレルを超えると試算。
東電が、4−5月に海に流出した汚染水の放射能量を約4720兆ベクレルと推定したのに対し、3倍以上の
数字を発表したのだ。
実際に福島沖の水産物への影響はどうなのか。水産庁の調査(9月以降)で、蓄積された放射性セシウムが
暫定規制値を上回った魚は別表のとおり。シロメバル、クロソイの2000ベクレル超を筆頭に、
アイナメやヒラメ、イシガレイ、アユなど食卓を飾る“うまい魚”から高濃度のセシウムが検出されている。
表には記載していないが、調査したほとんどの魚が原発事故以前の魚の平均値(1キログラムあたり
0・086ベクレル)を上回った。
▽画像
http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/images/20111012/dms1110121645015-p2.jpg ▽ソース:zakzak 2011.10.12
http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20111012/dms1110121645015-n1.htm