桜の名所として知られるさくら市喜連川のお丸山公園の斜面が、
台風15号の影響で9月22日に崩落したまま、現在も復旧のめどが立っていない。
ふもとの民宿は営業再開の見通しが立たず、不安な日々を過ごしている。
県砂防水資源課やさくら市総務課によると、9月22日午前0時45分ごろ、
お丸山公園の南側斜面が高さ50メートル、幅77メートルにわたって崩れた。
土砂1万立方メートルがふもとになだれ込み、住宅2棟が全半壊した。
半壊した住宅には夫婦2人が寝ていたが、無事だったという。
市は台風の接近に伴い、ふもとの倉ケ崎地区の61世帯156人に
避難勧告を出したが、現在も土砂崩れの危険があるとして解除していない。
これまでに勧告対象地域の4世帯が、市営住宅に移ったという。
市によると、東日本大震災の影響で斜面の上部に亀裂が入ったという。
そこに台風15号が直撃し、倉ケ崎地区で降り始めから約220ミリの大雨を記録。
関東ローム層と砂礫(されき)層の間の地下水の通り道が
雨水でふくれあがり、土砂を外に押し出したとみられる。
ふもとで民宿を経営する高塩久雄さん(63)は「地面がちょっと揺れたように感じたあと、
ドスンという音が聞こえた」と振り返る。窓を開けると木や電柱が倒れていた。
震災で民宿を半年間休業後、再開しようと思った矢先。
「また見通しが立たなくなりました」と肩を落とした。
県や市は震災後、斜面の補強作業を進めていたが、「今回の崩落で、
亀裂箇所の修復は来年度にかかってしまう可能性がある」としている。(佐藤英彬)
2011年10月10日
http://mytown.asahi.com/tochigi/news.php?k_id=09000001110100003