津波で園児死亡、保護者が幼稚園に賠償求め提訴
東日本大震災で宮城県石巻市の私立「日和幼稚園」の送迎マイクロバスが津波に巻き込まれ、
乗っていた4〜6歳の園児5人が死亡したことをめぐり、このうち4人の園児の保護者が10日、
津波警報が出ていたのに海沿いにバスを走らせるなど園の対応に問題があったとして、
幼稚園を運営する学校法人「長谷川学院」を相手取り、慰謝料など約2億円を求める損害賠償訴訟を仙台地裁に起こした。
大震災で、幼稚園や小中学校など施設側の管理責任をめぐって犠牲者の遺族が提訴したことが明らかになるのは初めて。
死亡した園児4人の父母ら7人が10日午前11時から、仙台地裁で記者会見した。
保護者側は、大津波警報が発表されていたにもかかわらず、園で待機しなかったことなど、適切な対応を怠ったなどと主張している。
関係者によると、幼稚園の送迎バスは、3月11日の大震災発生後、地震の激しい揺れが収まるのを待って
園の判断で園児12人を乗せ、高台にある同園から石巻湾近くの住宅街に向けて出発した。
途中で園児7人を保護者に引き渡した。海岸近くの道路を走行中、津波の襲来に気付いて同園に引き返す途中で津波にさらわれた。
バスはガソリンスタンドから漏れ出した油による火災に巻き込まれ、園児5人が遺体で見つかった。
バスの男性運転手は、津波の衝撃で意識を失ったものの、建物の屋根に流れ着いて一命をとりとめた。
添乗員だった運転手の妻は行方不明のままとなっている。
(2011年8月10日11時38分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20110810-OYT1T00417.htm