【毎日新聞】 西川恵「なぜ政治家たちは4年間、一人の首相に仕事をする時間を与え、その仕事の結果で判断しようとしないのか」

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1有明省吾 ◆BAKA1DJoEI @有明省吾ρ ★

菅直人首相の粘り腰と、首相を降ろそうとする自民党など野党の綱引きが続いている。ただ菅首相自身が早期辞任をほのめかした以上、
早晩の辞任は既定路線だろう。

機能不全に陥っている政治を見て、改めて考えさせられる。なぜ政治家たちは総選挙までの最大4年間、一人の首相に仕事をする時間を与え、
その仕事の結果で判断しようとしないのか。

なぜ野党は政策論議より政局に走るのか。もし自民党が菅政権の震災対策に建設的な提案で応えていたら、
「国難に政争を超えて行動する責任ある野党」として、自民党の評価は大いに高まったはずである。
現在の支持率上昇は、行き場のない世論の一時的な逃避でしかない。

結局のところ、問題は「機能する国家」を実現するにはどうしたらいいか、に行き着く。「機能する国家」。つまるところ実行力ある政府、執行権の強化である。

90年代、多くの先進国で「機能する国家の実現」が大きなテーマになった。背景にあるのは冷戦終結でイデオロギー対立に終止符が打たれ、
左右の政策に本質的差異がなくなったこと。また規制緩和や財政再建など、
よりプラグマティック(実務的)で効率的なアプローチが政治に求められるようになったことだ。

この状況に対応すべく、各国各様に政治改革が進んだ。日本はイタリアにならい、96年に小選挙区比例代表並立制を取り入れた。
2大政党制で政権交代を実現し、政権の執行力を高めるのが狙いだった。
01年の中央省庁再編、内閣機能強化(いわゆる橋本行革)もこの延長線にあり、これによって首相権限は大幅に強まった。

他の先進国にはない日本固有の事情だが、戦後、日本は戦前・戦中の反省から執行権(政府)の独走に強い警戒心を抱き、
それを防ぐため二重三重に足かせをはめた。
一連の政治改革は、その足かせをはずしていく過程でもあった。しかし今一つ大きな制度的な課題が残っている。(>>2-3へ続く)

毎日新聞 2011年7月29日 東京朝刊
http://mainichi.jp/select/opinion/nishikawa/news/20110729ddm003070125000c.html