政府が新聞やインターネットを監視し、原子力発電に関する言論を収集していたことが分かり
ました。経済産業省の外局である資源エネルギー庁が「不適切・不正確な情報への対応」を口実に
メディアを監視していたのです。
この事業は、原子力施設立地推進調整事業のうちの「即応型情報提供事業」です。資源エネルギー庁の
調達情報によると、2008年度は社会経済生産性本部が2394万円、09年度は科学技術振興財団が
1312万円、10年度は財団法人エネルギー総合工学研究所が976万円で受注しています。
10年度入札で資源エネルギー庁が示した委託内容の詳細が書かれた仕様書によると、事業の目的は
「新聞、雑誌などの不適切・不正確な情報への対応を行う」ことです。
エネルギー総合工学研究所の担当者によると、記事を収集する対象は、「朝日」や「読売」など
全国紙や「日刊工業」など専門紙、福井や青森、福島など原発立地県の地方紙など約30紙です。
間違った記事があった場合、資源エネルギー庁に報告し、訂正情報も作成していました。
「不適切」な情報については、請け負った同研究所の担当者ですら、「何を指して『不適切』とするのか、
意味が分からなかった」といいます。あいまいな表現を使えば、解釈がどこまでも広がりかねません。
資源エネルギー庁作成の仕様書には、国の原子力政策や、通常の原子力発電所でプルトニウムとウラン
を混ぜた燃料を利用するプルサーマル計画などに対する「動向や傾向等を専門的知見を活用して分析する」
ともあります。
その内容について、同研究所の担当者は「インターネットで原発推進に反対する学者や技術者のブログ
を中心に、どのようなデータや議論が掲載されているのか見ていた」と述べます。
(
>>2-に続く)
▽しんぶん赤旗
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik11/2011-07-14/2011071401_01_1.html