【東京】菅内閣の元官房参与、小佐古敏荘氏(61)が原発事故に対する政府の対応を痛烈に批判し、
今後、放射能の脅威がさらに露呈する可能性があると警告した。
ウォール・ストリート・ジャーナルのインタビューに応じた小佐古氏は、菅内閣は海の汚染や魚への
影響について迅速な分析ができておらず、汚染除去コストを最小限に抑えるために特定の放射能の
危険性を過小評価していると述べた。日本の放射線安全学における第一人者である小佐古氏がメディア
の取材に応じたのは、4月に内閣官房参与を辞任して以来初めて。
同氏は、茶葉やほうれん草など、食品の汚染については、既に散発的に報告されているものの、
今年後半、特に日本人の主食である米の収穫が始まった頃に、より広範な、憂慮すべき問題が明らかに
なるだろうとした。
同氏は、「今年の秋の収穫の時期が来れば混乱がおきる。収穫した時に米の中に、どのようなレベル
かわからないが、放射能が入っている。それがスキャンダルになり、東北の米は買わないということに
なれば、やっかいなことになる」と述べた。
さらに、3月11日に原子炉が津波の被害を受けて以来、福島第1原発の状況に対して政府がとってきた
対応は、日本の政策決定のまずさを露呈したとし、「政府の意思決定メカニズムははっきりしない。
どういう理屈で何を決めているのかはっきりしない。とても民主主義社会とは思えない」と述べ、
東アジアの発展途上国のような状況になっているとの見方を示した。
小佐古氏は、具体的に、校庭における放射能の許容水準を超える学校が17校にとどまるよう、政府は
許容水準を比較的高いレベルに設定した、と述べた。同氏が主張していたようにより低い水準に設定
した場合、何千校もの学校で全面的な放射能除去作業が必要になる。菅首相率いる民主党は補正予算の
国会承認を得るために苦慮しており、同氏は、このようにコストがかかる選択肢は支持されなかった、
としている。
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>>2-に続く)
▽WSJ日本版
http://jp.wsj.com/Japan/node_258611