菅直人首相は28日の民主党両院議員総会で、次期衆院選の争点に言及した。岡田克也幹事長ら
執行部も含め、党内から8月末までの延長国会中の退陣を迫られている首相としては、解散をちら
つかせることで、求心力の低下に歯止めをかけ、さらなる続投を探ろうとの狙いとみられる。しかし、
党内で支持する声はほとんどなく、四面楚歌(そか)の厳しい状況も浮き彫りにした。
「エネルギー政策をどのような方向に持って行くかが次期国政選挙の最大の争点になる」。首相は
両院議員総会の冒頭、唐突に次期衆院選のテーマに触れた。首相は27日の記者会見でも、退陣の
条件の一つに挙げた再生エネルギー促進法案が成立しなかった場合に解散する可能性を問われ、否定
しなかった。首相の総会での発言には、解散を想起させる思惑もあったのは明らかだ。
実際、報道各社の世論調査で自民党の支持率は低下傾向にあり、首相周辺からは「首相が脱原発を
掲げて解散すれば、勝てるかもしれない」との声も漏れる。ある若手議員は、「側近の寺田学前首相
補佐官が、脱原発と世代交代を争点にした解散を首相に進言している」と明かす。
だが、総会での「脅し」は、首相に対する怒りが渦巻く党内で火に油を注いだ。「小学生が宿題を
しない理由として『一定のめどが付けば』と言っている」「新代表を速やかに選んでいく作業を
示してほしい」。出席者からは、首相を非難し、退陣を求める声が続出。首相が1時間弱で途中退席
すると、複数の議員が「逃げるのか」などと罵声を浴びせた。
もっとも、民主党への信頼が低下する中、首相が解散に打って出ても勝てる保証はなく、党内で
警戒感は消えない。首相退席後、比例選出の橋本勉衆院議員は「唐突に選挙をされないように執行部
にもお願いしたい」と訴えた。岡田氏は「解散・総選挙をしている時間はない」と答弁した上で、
「この話をしていると、そういう雰囲気が醸成されていく。ほどほどにした方がいい」と、首相の
発言を黙殺するよう求めた。
▽時事ドットコム
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