東京電力福島第1原発1号機の水素爆発の直前に行われ、成功したとされる格納容器の圧力を
下げるための「ベント」(排気)が、実際には失敗した可能性が高いことが分かった。ベントの
ためには弁を開けなければならないが、東電関係者は「十分に開かなかった」と証言、東電本店も
「弁開放は確認できていない」と述べた。専門家も「データから、いったん開いた弁が閉じたと
読み取れる」と指摘している。
◇政府報告書は「成功」
1号機の原子炉建屋内にはベント実施前から水素がたまっていた疑いがあると専門家は指摘しており、
ベントの「失敗」が爆発に直接結びついたのかは不明。だが、国際原子力機関(IAEA)に7日提出
した政府の報告書には「ベント成功」と記載されており、事故調査・検証委員会で議論となりそうだ。
東電などによると、1号機では3月12日午前0時6分、格納容器内の圧力が上限値(427キロ
パスカル=約4・2気圧)を上回る600キロパスカルに達し、吉田昌郎所長がベントの準備を指示。
政府も午前6時50分、原子炉等規制法に基づくベントを東電に指示し、午前9時ごろから作業が
始まった。
ベントでは格納容器内の水蒸気や水素ガスが、底部にある圧力抑制プールから配管を通り、空気の
圧力で弁を開放するAO弁(建屋地下1階)、通常は電動で作動するMO弁(建屋2階)を通過し、
排気筒から建屋外に放出される。AO弁には小弁、大弁と呼ばれる二つの弁があり、どちらかが開けば
水蒸気は排気筒へ向かう仕組み。
東電は午前9時15分ごろ非常用のハンドルを手動で回しMO弁を25%程度開けることに成功。
同9時半ごろ小弁の開放を目指したが、付近の放射線量が高く手動での作業を中止し、同10時17分、
中央制御室から機械操作で小弁開放を試みた。
(
>>2-に続く)
▽毎日新聞
http://mainichi.jp/select/weathernews/news/20110624ddm001040056000c.html