東日本大震災をめぐり、南海地震で大きな被害が想定される高知県が、
県の備蓄食糧を全て被災地に提供していたことが13日、同県への取材で
分かった。同様に地震の危険性が高い他県では、備蓄を残しつつ一部を提供。
あまりの大盤振る舞いに県内では「被災地のためとはいえ、少しやり過ぎ
ではないか」と疑問の声も上がっている。
地震や津波、台風など“災害リスク”が高い高知県。昨年度から
5年計画で備蓄を始めたが、大震災で飲料水約1万4千リットルと、
食糧約1万4千食を全て被災地に送った。担当者は「備蓄を他県に
提供する際の運用を詳しく考えていなかった」と話し、事前の検討が
不十分だったと認める。
東海・東南海・南海地震で同様のリスクを抱える他県は「最大でも
半分までしか出せない」(愛知県、三重県)。「提供した3倍以上の
備えがある」(和歌山県)と、慎重に対応。徳島県は「南海地震誘発の
可能性を考えると、とても全ては出せない」として、支援するのは
職員用食糧の約半分までと決めた。
食糧備蓄に関しては、県に備蓄を義務付ける法律の定めはない。静岡県のように、
県自体は備蓄をせず、市町村への補助を手厚くしている自治体もあり、高知県の
対応に理解を示す声もある。高知県地域福祉政策課は「企業との災害協定もあり、
すぐに物資が不足するとは考えにくい」と説明。深刻な事態ではないとしている。
一方、品不足などで補充のめどは立っておらず、南海地震対策の見直し会議では
「現状は丸腰に近い状態だ」と心配する意見も出ている。
http://www.sponichi.co.jp/society/news/2011/06/13/kiji/K20110613001011350.html