ヒットする楽曲としない楽曲を聴いた時の脳の反応にはそれぞれ特定のパターンがあり、
この反応を調べれば売れ行きを予想できるかもしれないとする研究結果を米エモリー大学の
研究チームがまとめた。消費者心理学の専門誌に発表する。
この現象は、世論が若者の志向に与える影響を調べる目的で行った実験の過程で偶然発見された。
研究チームは12〜17歳の被験者27人に無名のアーティストが作曲した楽曲120曲を聞かせる
実験を2006年に実施し、それぞれの曲を聴いた時の脳の反応を機能的磁気共鳴断層撮影
(fMRI)装置で記録した。
この結果と、実験に使った楽曲の07〜10年にかけての売れ行きとの関係を調べたところ、
2万本以上が売れた楽曲の約3分の1は、脳の報酬系と呼ばれる2つの領域の強い活性化を
引き起こしていることが分かった。一方、売れ行きが2万本に満たなかった曲の約90%は
弱い反応しか引き起こさなかった。
脳のこの2つの領域は、自分の欲しいものが手に入ると期待している時に活性化することが
知られており、この領域が活性化するかどうかを調べればヒット曲の3分の1は予想でき、
反応が弱ければヒットしないことはほぼ確実との見方ができる。
実際に、こうした理論を活用しようとする「神経マーケティング企業」は多数存在するという。
ただし今回の実験では被験者が27人と少なく、一般にそのまま当てはめることはできないかも
しれないと研究者はくぎを刺す。
一方で、研究を応用して宗教や政治理念が脳にどんな反応を引き起こすか調べれば、その理念が
及ぼす影響力の強さを予想できる可能性もあると指摘した。
2011.06.13 Mon posted at: 13:33 JST
http://www.cnn.co.jp/fringe/30003053.html