◇北西側地域の土壌、避難レベル超す
文部科学省は4月、米エネルギー省と共同で航空機を使ってセシウム137(半減期約30年)
の土壌蓄積量を調べたところ、原発の北西方向にあたる同県浪江町、双葉町、南相馬市、飯舘村、
葛尾村などで、1平方メートルあたり300万〜1470万ベクレルに達した。旧ソ連の
チェルノブイリ原発事故(86年)で、住民避難の判断基準とされた1平方メートルあたり
55万ベクレル以上という数値を大幅に上回った。
今回の事故による避難地域は、国際放射線防護委員会(ICRP)の勧告をもとに、空間線量が
年20ミリシーベルトという数値を基準としたため、蓄積が多くても避難対象ではない地域がある。
文科省は「土壌の放射性物質が、すぐ体内に入るわけではない。測定場所によって濃度も異なる」
と説明する。一方、今後の住民の帰宅や農業の可否の判断にあたり、土壌の汚染度が議論になる
可能性がある。
名古屋大大学院の山沢(やまざわ)弘実教授(環境放射能)は「土壌汚染は、土に付着する
セシウムから出るガンマ線による外部被ばくが問題」と指摘、放射線量低減には土の入れ替えが
有効と提案する。
またガンマ線は土の中を通りにくい性質があるため、「同じ場所で土を上下で入れ替えることも
効果がある。空間中の放射線量をできるだけ低く抑えることが大切だ」と話す。
▽毎日新聞
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20110511k0000m040089000c.html