他のスポーツを除外して1つのスポーツのみに集中して活動している小児では、
損傷(injury)の頻度が高いことが新しい研究で示唆され、米ソルトレイクシティで
開催された米国スポーツ医学会(AMSSM)年次集会で報告された。1つの運動競技に
専念する小児が損傷する可能性は、複数のスポーツを行っている小児のほぼ2倍であったという。
米ロヨラLoyola大学シカゴストリッチChicago Stritch医学校のNeeru Jayanthi博士らは、
ジュニア・テニスプレーヤー519人を対象とした以前の研究で、テニスのみを行う被験者は
損傷する可能性が高いことを報告している。今回は、さまざまなスポーツをする平均年齢13歳の
若齢アスリート154人について検討。被験者85人はスポーツ損傷治療のためクリニックを受診し、
69人は単にスポーツ理学療法を受けた。
同氏らは、1つのスポーツの訓練を行う割合(75%を特化しているとみなした)、
1つのスポーツに集中するために他のスポーツをやめたかどうか、1つのスポーツで
年間8カか月の訓練を受けたか、あるいは6カか月以上過ごしたか−などの要因スコアをもとに、
各アスリートの特化度をランク付けした。
研究の結果、損傷したアスリートでは60.4%に特化がみられたが、理学療法を受けたアスリートでは
31.3%のみであった。損傷群は週平均11時間以上団体スポーツを行い、非損傷群では
9時間未満であった。テニスや体操、ダンスなどより専門性の高いスポーツはより
重度の過剰使用(overuse)損傷と関係していた。
Jayanthi氏は「この知見が予備的なものである」と強調しつつも、
「スポーツの特化とともに訓練の強度にかなり大きな差が認められた。損傷する第1の理由は、
同じ筋肉群の反復使用と脊椎など成長部分へのストレスである。第2は曝露リスクである。
1つのスポーツが非常に得意になれば上手になり、強度が高まる。
小児の身体で成人のようなスポーツ技術が発達するが、成長過程の身体は
おそらくこれに耐えられない」と述べ、厳しい訓練が成長期の若齢アスリートの
身体に及ぼす影響をさらに詳細に検討する予定である。
イカソース
http://news.e-expo.net/world/2011/05/post-105.html