海にストロンチウム 福島第一周辺、土壌にも
東京電力は八日夜、福島第一原発の敷地内の土壌や周辺の海水から、
放射性物質ストロンチウム89、90を検出したと発表した。
土壌二カ所から出たストロンチウム90は、冷戦時代の核実験で国内で観測された濃度の約百倍で、
東電は「今回の原発事故で放出された」と話している。
土壌からはこれまで文部科学省の調査で検出されているが、海水からは初めて。
ストロンチウムはカルシウムと似た性質で骨に吸収されやすい。
半減期は89は五十日程度と短いが、90は二十九年と長く、人体に取り込まれると
深刻な内部被ばくが長期間にわたって続くことになる。東電は作業員にマスク着用など吸入防止措置を講じる。
土壌は三カ所、海水は福島第一の南北の放水口付近と沖合十五キロ、
福島第二の沖合十五キロの計四カ所から、いずれも四月十八日に採取した。
土壌のストロンチウム90の濃度は乾いた土一キログラム当たり最大で五七〇ベクレルだった。
海水は法令で定める濃度限度の最大で〇・二六倍。福島第一の原子炉建屋から大気中に放出された後に落下したか、
海に流出した高濃度の放射能汚染水が拡散したとみられる。
東京新聞 2011年5月9日 夕刊
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2011050902000161.html