東京電力福島第1原発の事故を受け、東電や経済産業省原子力安全・保安院、
原子力安全委員会、文部科学省が一堂に会する共同会見が始まって4日で10日目を迎えた。
「正確で透明性のある情報発信」が目的の一元化だが、事務局側が「会見の対象外」とする問題に
質問が集中し、やり取りはしばしば空転。連日3〜5時間の長さにもかかわらず、
一元化の意義は見えてこない。【日野行介、足立旬子】
事故対策統合本部事務局長の細野豪志首相補佐官が「教育問題は会見の対象外」と
位置づけたのに対し、連日質問が集中したのは、政府が定めた小中学校の屋外活動を
制限する限界放射線量「年間20ミリシーベルト」問題だ。「助言」したとされる
原子力安全委員会の専門委員1人が実際には基準に反対していたとして、詳しい経緯の
開示と当事者の出席を求める声が出た。しかし委員や専門委員は出席せず、事務局側は
「手続きは踏んでいる」と繰り返したため紛糾。結果的に事務局は2日になって
判断経過をまとめた文書を公表。細野氏は4日の会見で「これからは文科省で
聞いてほしい」とうんざりした様子で話した。
配られる環境モニタリングなどの資料は毎回100枚超。さらに200人前後の報道陣が
参加し、質問も多岐にわたる。壇上で担当者が居眠りするなど疲労も目立ち始めた。
ついに細野氏は4月28日の会見終了後、「業務とのバランスを取る」などとして、
連日開催の当初方針を撤回し、ゴールデンウイーク中は1日おきとした。また一部機関からは
2時間に制限する声が出ているという。
>>2以降に続く
ソース:
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20110505k0000e040006000c.html >>1の続き
一元化の理由について、細野氏は与野党議員や海外メディアなどの要望を挙げ、
「それぞれに会見を開いてきたことで情報に重複や混乱が生じた」と説明する。しかし事故は
収束の見通しが立たず、東電や保安院は未開催日も個別に会見を開いているのが実情だ。
田島泰彦・上智大教授(メディア法)は「フリーランスの参加も認め、さらなる情報開示に
つながれば会見が長いこと自体は悪いことではない。しかし時間を制限すれば説明責任を放棄し、
知る権利を踏みにじることになる。共同会見で情報の整合を図るというのは政府の都合に過ぎない。
子供20ミリシーベルト問題のような国民の関心が高い問題を『対象外』と言うのは
責任逃れに思える」と指摘する。(終わり)