民主党は20日、「一票の格差」を是正する参院選挙制度改革で、
西岡武夫参院議長が示した比例ブロック案と大選挙区案を採用せず、
隣接する選挙区を統合する「合区案」などを軸に検討することを決めた。
自民党からは定数是正にとどめる案が浮上。各党間の調整は難航必至だ。
民主党の選挙制度改革対策チームは20日、国会内で検討会を開いた。
西岡議長や石井一選挙対策委員長らが提案した改革案や党所属参院議員が
個別に提案してきた私案など九つの案を整理した紙が配られた。
西岡議長が提案した全国を9ブロックに分け、比例区または大選挙区制に一本化する
抜本改革案への賛成意見は1人も出なかった。現行の全国の比例区の廃止が前提のため、
35人の比例選出議員が猛反発。議長がたたき台を示す手法にも「トップダウンは問題」との
批判があった。チーム座長の平田健二参院幹事長は終了後、記者団に「採用しない」と明言した。
全国を11ブロックに分けて大選挙区とし、比例区を廃止する石井氏の案も
検討の対象外となる方向だ。 代わって軸になりそうなのは、現行の比例区を残し、選挙区を
ブロックごとにまとめる「大選挙区案」か、隣接する一部の選挙区を統合する「合区案」だ。
石井氏の改訂案Aは、全国を10ブロックの大選挙区(定数6〜20)にし、選挙区、比例区ともに
現行より定数を20ずつ減らす。一票の最大格差は1.195倍となる。田中直紀氏や
辻泰弘氏が提案した案や石井氏の改訂案Bは、隣接する10〜20選挙区を合区。
選挙区と比例区の定数を計40削減する。一票の最大格差は2〜3倍程度となる。
参院民主党執行部は27日の参院議員総会で「大選挙区案」か「合区案」を軸に
検討することの合意を取り付け、具体的な区割りと定数配分をさらに詰める方針だが、
議員間の利害調整が絡み、各党との協議に入る前に案を一本化できるかは不透明だ。
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自民党は5月中の改革案作成を目指す。20日の党参院改革本部役員会では、
脇雅史参院国会対策委員長が一票の格差を4.5倍以内とし、全体の定数を
242から234に削減する案を示した。自民党が具体案をまとめたのは初めてで、
これをたたき台に改革案づくりを進める。
「脇案」は、鳥取県の有権者数を基準とし、一票の格差を4.5倍以内に収めるよう
議席配分した。改選の定数が2議席の宮城、福島、新潟、長野、岐阜、京都の計6府県を
1議席に減らす一方、定数2の北海道と兵庫県、定数3の神奈川県と大阪府をそれぞれ
1議席増やす。改選の比例区定数も48から46に減らす。
ただ、党内には改革案の決定には時間がかかるとの見方が強い。参院幹部は
「脇案は単なる一つの私案。今後いろんな案が出てくる。とても今国会中にはできない」と指摘する。
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