東日本大震災の被災者のために県内外から続々と寄せられる救援物資は多くの人々の避難生活を
支えているが、ここに来て、季節が代わって需要がなくなった大量の冬物衣料の扱いが課題として浮
上している。過去の大規模災害では、余った物資が処分された事例があり、このままでは人々の善意が
無駄になる可能性もある。現場の新たな悩みだ。
米沢市の救援物資保管・提供場所となっているアクティ米沢の体育館には段ボール箱が山積みになっている。
体育館のスペースの半分を占める量だ。中身はボランティアによって男女、サイズ、種類別に細かく仕分けされた
衣料品。需要が多いと思われる衣類については専用の区域を設け、被災者が選びやすいようきれいに展示して
いるが、並ぶのはこれからの季節に適した春物だ。
震災発生以降、真冬並みの寒さが続いたため、毛布とともに大量の冬物衣料品が寄せられた。
同施設で物資受け入れやボランティアの登録などを担当する市社会福祉協議会の渡部登一常務理事によると、
着の身着のまま避難してきた人も多く、当初は防寒具やセーターなどの衣類の需要が多かったが、
雇用促進住宅などへの入居が始まるにつれて、必要とされる救援物資の種類は家電や米、調味料などに
変化してきた。衣類で今も高い需要があるのは下着類だという。
市は既に下着と靴下以外の衣料品の受け入れを停止しているが、大量の“冬物在庫”については
「今のところどうするかは決めていない。すぐに処分するわけにはいかないのでしばらくは保管することに
なるだろう」(市災害対策本部)。市民が被災者を思って寄せてくれた物資だけに慎重な対応をせざるを
得ないとの立場だ。こうした状況について、被災者支援に関わる市民からは「最終的に処分しなければ
ならなくなるのであれば、バザーに出品して、売り上げを全て義援金に充ててはどうか」といったアイデアも
浮上している。
救援物資の「冬物衣料」扱いに困惑 米沢の保管所に山積み|山形新聞
http://yamagata-np.jp/news/201104/15/kj_2011041500617.php