■原発危機に初動から後手の政府、いらだつ米
2011年3月11日、マグニチュード9・0の巨大地震と大津波が襲った東日本大震災が発生して11日で1か月を迎える。
原子力発電所事故を引き起こした複合危機は、日本国内だけでなく、国際的な問題にも発展している。
原発事故では危機管理対応の空白が浮かび上がり、米国の苛立(いらだ)ちを増幅させた。
大震災から一夜明け、東京電力福島第一原発の危機的状況が明らかになった3月12日午前9時前、
米太平洋軍のウィラード司令官は、折木良一統合幕僚長に電話し、情報開示を求めた。
「ワシントンから原発の情報提供を求めるよう言われた。フクシマは安全か?」
しかし、自衛隊にも詳しい情報はなく、折木は「専門家が情報分析中だ。結果が出れば提供する」と答えるしかなかった。
同日未明、1号機の格納容器圧力が異常上昇し、原子炉は危険な状態に陥っていた。
ウィラードが心配したように同日午後、1号機原子炉建屋は水素爆発し、白煙が上がった。国内外に衝撃が走った。
「米国の原子力の専門家を支援に当たらせる。首相官邸に常駐させたい」
この日以降、ルース米駐日大使は枝野官房長官らに何度も電話をかけたが、枝野は「協力はありがたくお願いしたい。
ただ、官邸の中に入るのは勘弁してほしい」と条件もつけた。
(2011年4月10日03時14分 読売新聞)
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