ロシア軍用機が日本領空に接近する回数が、平成22年度は前年度の1・5倍に上ったことが8日、分かった。
各国の領空接近に占める割合も65%から約80%に増加。中国機もハイペースで飛来し、領空接近は前年度の2倍に達している。
中露両国は東日本大震災後も偵察飛行や挑発を繰り返しており、被災地支援に10万人を投入している自衛隊は、苦しい“二正面作戦”を強いられている。
ロシア機の動向について、防衛省のシンクタンク「防衛研究所」が6日公表した「東アジア戦略概観」は、
「偵察行動は南西地域にまで拡大している」と警戒感を示している。
防衛省によると、領空付近に飛来したロシア機に航空自衛隊の戦闘機が緊急発進(スクランブル)した回数は、
21年度は197件だったが22年度は約300件に増えた。ロシア機に対するスクランブルは12〜17年度は100件ほどを維持。
18〜21年度は200件前後で推移したが、22年度に再び急増した形だ。
太平洋などへの活動範囲の拡大も顕著だ。22年11月に日本海から飛来した2機のTu95爆撃機は九州西方から沖縄本島の南を回り、
太平洋を北上し日本を一周するなど「特異な飛行ルートが目立っている」(東アジア戦略概観)という。
南西方面で中国の海洋活動拡大に対処する日米の海空戦力について情報収集する意図があるとされる。
大震災発生後も飛来ペースは変わらず、「トモダチ作戦」を実施する日米両国の連携を偵察した。
津波で空自松島基地(宮城県)のF2戦闘機18機が水没すると、三沢基地(青森県)のF2部隊の警戒態勢を確認するようにSu27戦闘機が飛来。
大気中の塵を集めるポッドもつけており、東京電力福島第1原発からの放射性物質を採取する狙いもあったとみられる。
一方、中国機は3月26日と4月1日の2度にわたり、
東シナ海で警戒監視中の海上自衛隊の護衛艦に国家海洋局のヘリコプターと航空機を異常接近させる挑発行為を行っている。
産経新聞 4月9日(土)1時50分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110409-00000504-san-pol