★<東日本大震災>星になったママへ 「波になって会いたい」
・「一番きれいな星が、ママだよ」。パパに教えられ、澄んだ夜空を見上げる。岩手県陸前高田市の
保育園児、及川律ちゃん(4)は、東日本大震災で母久美子さん(32)を亡くした。
「ぼくも流されて、ママに会いたいなあ。波になりたい」。小さな手で描いた母の似顔絵。
いっしょに暮らし始めたおばあちゃんは、孫の無邪気な言葉を絵の裏に書き留めた。
市立図書館の職員だった久美子さん。あの日、大きな揺れの後で隣接する市立体育館に同僚らと
避難し、そこで津波にのまれた。仕事着のエプロン姿のままだった。
律ちゃんと弟の詠(えい)ちゃん(2)は保育園で昼寝をしていた。旋律の「律」と歌の「詠」。
ピアノ好きだった久美子さんが名前をつけた。兄弟は保育士に導かれ、靴を履かず上着も
着ないで大津波から逃げた。「靴下だったから途中で足が痛くなって、先生にだっこして
もらったの」と律ちゃん。市職員の父克政さん(33)も無事だった。
兄弟はいま、近くの母方の祖父母宅に避難している。久美子さんを思うと、祖母まみ子さん
(62)は思わず涙ぐむ。律ちゃんも泣き顔になるが、すぐ笑顔を見せる。詠ちゃんは「バアバを
守ってあげる」と得意のウルトラマンのポーズを取る。
津波が起きて7日後のことだった。こたつにいた律ちゃんがボールペンで絵を描いた。
にっこり笑う母の顔。(
>>2-10につづく)
※画像:津波で母親を亡くした及川律ちゃん(右)と詠ちゃん兄弟。手前は律ちゃんの書いたお母さんの絵=岩手県陸前高田市で2011年4月5日午後、石井諭撮影
http://mainichi.jp/select/weathernews/20110311/news/images/20110407k0000e040085000p_size5.jpg