被ばく上限見直し検討
原子力安全委員会の代谷(しろや)誠治委員は三十一日の記者会見で、
福島第一原発の事故が収束した後、放射能汚染が残った地域に住民が住み続ける場合に限って、
一般人の被ばく線量限度を引き上げるよう検討を始めることを明らかにした。
現在の上限は年間一ミリシーベルト。国際放射線防護委員会(ICRP)は二〇〇七年の勧告で、
事故からの復興期は一〜二〇ミリシーベルトが妥当と設定している。
代谷委員は「年間の放射線量が一ミリシーベルト以下にならない場所も出てくる。
そういった地域に戻ったり、住み続けたりする際は、何らかの基準を設けないといけない」と述べた。
年間の被ばく線量が一〇〇ミリシーベルトを超えると、発がんの恐れがわずかに高まるとされる。
日本では、原発事故などの復旧時を想定した基準はこれまで設けられていなかった。
一方、代谷委員の会見に先立ち、ICRP日本メンバーの丹羽太貫(おおつら)京都大名誉教授らが
三十一日、都内で記者会見、〇七年の勧告内容について解説した。
丹羽教授らは放射線物質の放出が止まった後も汚染地域は残るとした上で、
そこに住む場合は年間一〜二〇ミリシーベルト内が妥当とされていると強調。
「長期的には年間一ミリシーベルトを目標にしている」と説明した。
東京新聞 2011年4月1日 朝刊
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2011040102000049.html