計画停電の影響が病院や診療所にも及んでいる。病院は手術の延期を余儀なくされ、診療所はワクチンを
低温保存するため簡易保冷剤を“製造”して備える。いつまで続くのか見通しのつかない事態に、一部からは
「長引けば利用患者も減り、病院存続の危機に立たされる」との声も漏れる。
千葉県のある総合病院は、計画停電の第5グループに属している。1日2回の停電が予定された日は、
時間のかかる肝がんや胃がんの手術、急を要しない整形外科関連の手術を延期。時間のかかる人工透析も
時間をずらした。病院職員は「手術を延期するには患者や家族の了承も得なければならず、輸血や機器の
調整もある」と嘆く。
非常用発電装置はあるが、人工呼吸器など必要最低限の医療機器を維持するとなると、「レントゲンを撮る
のも不可能」という。停電時に来た救急患者には他病院に行くよう促す場合もあり、停電の時間帯は診療予約
も入れなかった。
病院職員は「以前は1日に約700人の外来患者がいたが、計画停電の影響で1日約250人に減った。
この状態が続くと、病院の存続も考えなければならない」と話す。
千葉県南房総市にある診療所(第1グループ)には数は多くないが、入院患者もいる。診療所内に自家
発電装置はあるものの、業務用ではなく大型の家庭用。ガソリン不足が気がかりなため、自前でできることは
工夫してしのいでいる。
停電に備え、冷凍庫でペットボトル20本分の氷を作った。ワクチンなどを保存するためで、停電時には保冷
剤代わりに冷蔵庫に入れる。
診療所の関係者は「ワクチンやインスリンは5度以下での保存が必要。3時間程度の停電ならこれで大丈夫。
被災地の人の苦労に比べれば、しようがないと思う」と話している。
http://sankei.jp.msn.com/life/news/110320/bdy11032022290001-n1.htm