レントゲンと原発被害を一緒に論じるナンセンス
福島第1原発では3号機付近では400ミリシーベルトという高いレベルの放射線が検出された。その後数値が下がってきたため、枝野官房長官は「ホッとしている」などと言う。
枝野は正門付近で1557・5マイクロシーベルトの放射線が検出された当日、「胃のレントゲンは1回600マイクロシーベルト。3回分弱になります」と安心を強調した。
しかし、こうした説明には巧妙なごまかしが潜んでいる。レントゲンは一瞬の被曝で終わるが、放射能が降り注げば、長時間にわたって放射線にさらされることになる。レントゲンと比較すること自体がナンセンスなのである。
さらに専門家たちが口をつぐんでいるのが「体内被曝」の恐怖だ。環境ジャーナリストの天笠啓祐氏が言う。
「実は放射能は量は少なくても体に付着すると、その部分の細胞や遺伝子を破壊する危険性があるのです。さらに怖いのはこうした物質が室内に入り、人が呼吸や食事で体内に取り込むこと。セシウムは筋肉に、ストロンチウムは骨髄に吸収され、体内で放射線を出し続けます。
これが『体内被曝』です。その期間は30年経たないと放射線量が半分にならないほど長い。その間にいつ白血病やがんになるか分からないのだから、爆弾を抱えて生きるようなものです」
原爆や原発事故にあった人がしばらくして発病するのはこうした理由による。
大爆発が起き、高濃度の放射線を浴びたら短期間で症状が表れる。男性は150ミリシーベルトで生殖機能が大幅に低下。子種がなくなる。
男女ともに500ミリシーベルトから白血球が減少し、1000ミリシーベルトで悪心や嘔吐、脱毛が起きる。7000ミリシーベルトだと死亡の可能性が高まる。こうなったら諦めるしかない。
2011年3月16日(水)発売の日刊ゲンダイ
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