苦しい政権運営を強いられる菅直人首相の有力な後継候補と目されていた前原誠司外相は、
在日外国人から献金を受けていた責任を取り、就任わずか半年で辞任した。
小沢一郎民主党元代表らに「政治とカネ」の問題で厳しく説明責任を求めてきたが、
自らの違法献金受領が発覚するという「脇の甘さ」が命取りとなり、政治の表舞台から退場。
前原氏にとっては2006年3月の党代表辞任に続く2度目の大きな挫折となった。
前原氏は報道各社の世論調査で、「次期首相に望ましい人物」として常に上位に顔を出してきた。
外交・安全保障分野をはじめとする政策通で知られ、05年衆院選での民主党惨敗後、
党勢立て直しへの期待を担い、43歳の若さで代表に就任。
06年の「偽メール事件」で代表を辞任したが、その後、09年9月の政権交代で国土交通相、
昨年9月の内閣改造で外相と要職を歴任してきた。
しかし、華々しい経歴や自信に満ちた歯切れの良い発言とは裏腹に、
八ツ場ダム建設中止や高速道路新料金制度の導入、対北朝鮮直接対話再開など、
重要政策をめぐっては不本意な軌道修正を繰り返してきた。
「偽メール事件」では当時、党代表だった前原氏が、自民党への企業の不透明な
資金提供を裏付けるとする電子メールの写しに基づく、党所属衆院議員の国会質問を了承。
前原氏自身、メールの内容に「確証がある」と断言していたが、ほどなく虚偽と判明し、辞任に追い込まれた。
前原氏は4日の記者会見で在日外国人からの献金について「頂いているという認識はなかった」と釈明したが、
献金を受けた経緯など詳細は不透明だ。歴史的な政権交代から1年半。苦境に立つ菅政権をさらに窮地に
追い込んだ今回の辞任劇は、前原氏の政治経歴にも大きな汚点を残した。
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2011030600227