児童養護施設や乳児院などの児童福祉施設で暮らす子どもの保護者が、負担しなければならない
生活費の一部を滞納するケースが増えている。県子ども家庭課によると、2009年度だけの未収率は
4割を超え、これまでに回収できていない過去の分も含めると、未収率は76・1%となり、総額は
8542万8千円に上る。滞納は、虐待などで保護者の意思に反して子どもを入所させる場合に
目立つという。同課は粘り強く支払いを求めていくとしている。
生活費は子どもの食費や衣服代などに充てる。県内には22の児童福祉施設があり、約900人の
子どもたちが暮らし、その多くの保護者は収入に応じて負担義務がある。里親に預ける場合も同様だ。
しかし、徴収は年々厳しくなっている。未収率は06年度が36・9%だったのに対し、09年度は43・6%が
未収で約1900万円が滞納となった。過去を含めた累計総額は07年度に6千万円、08年度に7千万円を
突破し、09年度末で8500万円を超えた。児童相談所の職員が繰り返し家庭訪問などに努めているが、
実っていない。
原因について、県子ども家庭課は不況による生活困窮家庭と児童虐待の増加とみている。
09年度の児童虐待相談件数は過去最高の718件あった。
児童虐待であれば親を説得して分離させることもあり、支払いを求めると、「金を払うくらいなら子を返せ」
などと要求してくる親もいるという。支払いを要求することで、児童虐待の再発も懸念されるため、強気な
回収を控えることもある。
保護者の住居がつかめなくなるなど回収ができない場合は、県は不能欠損として処理し、最終的には
税金で埋め合わせる。昨年度は90件、約600万円が処理された。
同課は「未収債権は大きな問題。強制徴収は今後の課題だが、少しでも払ってもらえるよう、粘り強く
交渉していきたい」としている。
県内の児童福祉施設 保護者の滞納増加、未収率76%:茨城新聞ニュース
http://www.ibaraki-np.co.jp/news/news.php?f_jun=12979528081738