http://mainichi.jp/life/edu/news/20110215k0000m040096000c.html 日本人の妊娠に対する知識が、国際的にみて低い水準であることが、英カーディフ大などの
調査で分かった。「子どもが欲しい」という欲求が低い傾向も明らかになった。調査責任者の
ジャッキー・ボイバン教授は「知識不足や育児への負担感が、日本の出生率の低さにつながっ
ている可能性がある」と分析している。
調査は、同大が製薬会社メルクセローノと共同で、欧米、中国など計18カ国の男女1万人
(平均年齢31.8歳)を対象にインターネットで実施。日本人は481人が協力した。妊娠や
不妊に関する国際調査では最大規模という。
妊娠に関する知識を〇×で答える質問(13問)の正答率は、日本人女性が35.8%と、
最下位のトルコに次ぐ18カ国中17位。男性も37.4%でトルコ、中国に次いで低かった。
「健康的な生活を送っていれば妊娠できる」という考えが誤りだと正しく答えられた日本人は
28.7%で、英国(90.7%)やオーストラリア(89.3%)の3分の1程度にとどまり、喫煙や
性感染症への感染、女性の肥満や加齢が妊娠・生殖能力を低下させることなどへの認識も
低かった。
生殖に関する意識を各国で比較したところ、日本人は「子どもを持ちたい」という欲求や
必要性が際立って低く、育児への負担感を強く感じている傾向が出た。特に女性の負担感が
男性を大きく上回った。
不妊女性の意識に詳しい森明子・聖路加看護大教授(母性看護・助産学)は「日本では生殖
の仕組みや、女性の加齢に伴う体の変化について、学校でほとんど教えていない。それらの
知識は、自分の健康を守り人生を設計していくうえで不可欠。性教育のカリキュラムをしっかり
組み、それを担う人材も育成すべきだ」と指摘する。【須田桃子】
つづく