梶文秋輪島市長(62)が9日までに、上平公一市議会議長に辞職願を提出、受け取りを拒否されて
いたことが分かった。梶市長は北國新聞社の取材に対し「合併間もない新輪島市の分裂は避けたいとの
思いだった。私の真意をくみ取ってほしい」と述べ、4月の石川県議選輪島市選挙区(定数1)を
めぐる同市内の自民勢力の対立激化が背景にあることをうかがわせた。
上平議長によると、8日午前に梶市長が議長室を訪ね、辞職願をいったん提出した。上平議長が
辞職願の受け取りを拒んだため、議会事務局で保管されていたが、9日に梶市長に返却された。
辞職願は5日付の書面で、市議会3月定例会を終えた上で、3月末で辞職したいとする内容だったという。
県議選輪島市選挙区では、旧鳳珠郡選挙区選出で旧門前町が地盤の宮下正博氏(61)=2期=で
自民勢力が候補一本化を図る動きがみられたが、6日に旧輪島市から会社役員の上田義雄氏(60)が
自民輪島支部に推薦願を提出。同支部は翌日の常任総務会で宮下、上田両氏を推薦することを決め、
旧輪島市の自民勢力による分裂選挙が決定的となった。
一方、梶市長は旧輪島市選挙区選出の現職宮地治氏(58)=2期=が昨年12月に不出馬を表明して
以降、宮下氏支持を鮮明にしており、宮下氏での候補一本化調整の相談にも乗っていたとされる。
梶市長周辺は「新市の一体感醸成に心を砕いた市長にとって、旧自治体間が争うことになる現在の流れに
強い憤りを感じているのではないか。(輪島市が地元の)北村茂男衆院議員にとっても分裂選挙は
マイナスだ」と分析する。
上田氏は9日夜、10日に輪島市議会で予定していた出馬会見を延期する連絡を報道各社にファクスで通知。
延期する理由として「梶市長より市議会議長に『市長辞職届』が提出されたため」と説明した。
今回、梶市長が辞職願を提出するという構えを見せたことは、分裂選挙に突き進む現況を打開するための
「ポーズ」との見方も強い。もっとも、梶市長の思惑とは裏腹に、宮下氏が着々と出馬の準備を進める一方、
上田氏も出馬の構えを崩さず、県議選輪島市選挙区をめぐる状況は予断を許さない。
北國・富山新聞ホームページ - 石川のニュース
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